嘉数高台公園は沖縄の過去と現在を知れる貴重なスポット!普天間基地が見える展望台などを360度写真付きで紹介

嘉数高台公園の概要

嘉数高台公園は沖縄県宜野湾市にある小高い丘に作られた公園です。この公園のある嘉数高台は第二次世界大戦(太平洋戦争)で沖縄戦の中でも最大級の激戦が繰り広げられ、日本軍と米軍ともに多くの犠牲者を生んだ場所となっています。

現在は公園として整備され、

  • 子供向け遊具
  • グランドゴルフ/ゲートボール場
  • 展望台
  • 多目的広場

などがあり地元住民の憩いの場として利用されていますが、同公園内には戦死者のための慰霊碑が複数建てられていたり、日本軍の攻撃拠点となるトーチカ、弾痕の残る民家の壁などの戦争遺跡が残されていたりと、沖縄戦の悲しい過去を学ぶことができます。

また高台に設けられた展望台からは、民家が立ち並ぶ住宅街と隣合わせとなっている普天間基地を一望することもできます。戦争による過去の爪痕だけでなく、現在の沖縄が抱える基地問題も実際に目で見て感じることができる公園となっています。

嘉数高台公園(展望台)からの眺め

嘉数高台公園に設けられた展望台は、世界平和の願いが込められた地球儀型の展望だとなっていて、東西南北360度見渡すことができます。日本軍が重要な陣地を作ったほど見晴らしは良く、北には残波岬が見え、西側には海の向こうに慶良間諸島を望むことができます。

展望台から見た宜野湾市

嘉数高台公園-展望台から見た宜野湾市

宜野湾市の街並みを一望することができます。

展望台から見える普天間基地

嘉数高台公園-展望台から見える普天間基地

宜野湾市の街並みの先には沖縄の基地問題でよく取り上げられる「普天間基地」が見えます。普天間基地にはオスプレイも配備されていて離発着する様子を見ることができ、戦闘機マニアの方々には撮影スポットとしても知られています。

夜景スポット

見晴らしの良い嘉数高台公園の展望台は、夜景スポットとしても人気の高い場所です。米軍基地のある夜景や、街並みの向こうに広がる静かな夜の東シナ海を眺めることができます。

ただし、嘉数高台公園は22時に駐車場が閉まってしまいますので注意が必要です。また、沖縄戦の激戦地で、数多くの戦死者が出た場所であることから、地元の若者の中では心霊スポットとしても知られています。そういうものが苦手な人にとっては、夜の嘉数高台公園は怖いかもしれません。

嘉数高台公園にある慰霊碑や戦争遺跡

嘉数高台の歴史

冒頭にも書いた通り、嘉数高台公園は第二次世界大戦の激戦区となった場所です。

「嘉数の戦い」と呼ばれる激しい戦いが戦争末期の1945年4月8日から16日間も続き、日本軍・米軍ともに多くの死者を出しました。

戦死傷者の数には諸説ありますが、日本軍6万~7万人とも言われています。沖縄戦には10万人の日本兵士が導入されていたと言われているため、半数以上がこの嘉数の戦いで死傷したことになります。このことから、沖縄戦における日本の敗北を決した戦いだったとも言われています。

なお、米軍側も嘉数高台を制圧するために2~3万の死傷者を出しており、嘉数のことを「死の丘」「忌々しい丘」と呼びました。

慰霊碑

嘉数の塔

嘉数高台公園-嘉数の塔

嘉数の戦いでは兵士だけでなく数多くの地域住民も巻き添えになり、また沖縄南部に避難した方々も最終的には避難先で戦火に巻き込まれ、嘉数の住民の半数以上が命を落としたと伝えられています。その嘉数の住民のために作られた慰霊碑です。

京都の塔

嘉数高台公園-京都の塔

この地で戦死した京都出身の兵士のために作られた慰霊碑です。嘉数の戦いで京都出身の兵士2,536名が亡くなったと言われています。

島根の兵奮戦之地

嘉数高台公園-島根の兵奮戦之地

島根出身の兵士の内、嘉数の地で亡くなった方のために作られた慰霊碑です。なお、沖縄南部には、沖縄戦で亡くなった島根出身の兵士のために作られた「島根の塔」も別にあります。

青丘之塔

嘉数高台公園-青丘之塔

沖縄戦で命を落とした韓民族386柱を祀った慰霊碑です。

戦争遺跡

戦争遺跡とは、戦争のために作られた設備や、戦争で被害を受けた施設や住民の家などが、当時の爪痕をそのままに残っている遺跡です。

嘉数高台公園には、過去の過ちや平和の尊さを忘れないために複数の戦争遺跡が残されています。

トーチカ

嘉数高台公園-トーチカ

日本軍が作ったトーチカです。トーチカとは大砲や銃などの武器を置くための場所を、分厚コンクリートで守ったものです。嘉数高台公園に残るトーチカのコンクリートの厚さは約70センチもあります。

トーチカには銃を出せる穴が開いており、攻めてくる米軍にその開口部から攻撃を加えていたと考えられています。

弾痕の塀

嘉数高台公園-弾痕の塀

嘉数高台公園には、戦争の際に銃弾を受けたが残されています。元々この場所にあったものではなく、嘉数地域の民家の塀を展示のため移動させたものです。

陣地壕

嘉数高台公園-陣地壕

日本軍が作った人工壕です。現在嘉数高台公園に残っている陣地壕はこの陣地壕だけですが、実際は嘉数高台にたくさんの陣地壕が作られたそうです。

これら陣地を作るために、兵士だけではなく多くの住民が駆り出されました。現在陣地壕の中に入ることはできませんが、内部は大人が二列で歩けるほど広く、また中には200メートルの長さの壕もあるそうです。

嘉数高台公園へのアクセス

那覇空港から嘉数高台公園までは30分ほどで行くことができます。なお、住所は「沖縄県宜野湾市嘉数1-5」です。

駐車場

嘉数高台公園には収容台数20台の無料駐車場が備わっています。なお、駐車場は「6時~22時」のみ開いており、それ以外の夜間は閉鎖(施錠)されますのでご注意ください。

最後に

嘉数高台公園は観光地ではないため観光客が訪れることは殆どない場所ですが、過去にあった沖縄戦の傷跡と現在の基地問題の両方を肌で感じられる貴重なスポットです。

また、地域の方にとっては普通の公園でもあります。夏はクワガタを捕まえる子どもたちがいたり、戦争時代を乗り越えた老人がゲートボールを楽しんでいたりと、現地の日常を垣間見ることもできるでしょう。

嘉数高台公園の近くには「宜野湾市博物館」もあり、沖縄の歴史や自然、文化などを学ぶこともできお勧めです。

沖縄旅行の際は少し時間を作って足を運んでみてはいかがでしょうか。

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