平和の礎(いしじ)の概要
平和の礎は、沖縄県糸満市の「平和祈念公園」内に設置された慰霊碑です。太平洋戦争・沖縄戦終結50周年を記念して1995年6月23日に建設されました。
沖縄戦で犠牲となった方々の名前が刻まれた高さ1.5メートルの刻銘碑が、平和の火というモニュメントを中心に放射状に広がるように並んでいます。一つ一つの刻銘碑は屏風状になっており、全てをの長さを足すと全長2.2キロメートルにもなります。
刻印されている戦没者の名前は、国籍や軍人、民間人、敵味方関係なく、延べ24万人以上の氏名が刻まれていて、それだけ多くの方が沖縄戦で命を落としてしまったことがわかります。
基本理念
この慰霊碑には、
- 戦没者の追悼と平和祈念
- 戦争体験の教訓の継承
- 安らぎと学びの場
という3つの理念が掲げられています。
戦没者の追悼だけでなく、沖縄戦の悲惨さや平和の尊さを後世に伝え、世界の恒久平和を祈願することが最大の目的となっています。
平和の礎の構成
平和の礎は、「刻銘碑」「メイン園路」「平和の広場」という3つのエリアで構成されています。
刻銘碑
沖縄戦で命を落とした方々の名前が刻まれた刻銘碑です。刻銘碑の足元は芝生となっていて、刻銘碑どうしの間にはモモタマナという木も植えられていて涼しげな雰囲気があります。(モモタマナの木は沖縄の方言で「コバテイシ」と呼ばれる木で、沖縄の墓地によく植えられている木です)
屏風状に並べられた刻銘碑は全部で118あり、両面に戦没者の名前が刻まれており最大で約25万名の名前を刻むことが可能となっているようです。
刻銘碑はまだ完成しているわけではなく、新たに判明する戦没者の氏名が毎年追加されています。
また、刻銘されている戦没者の中には名前が不明な人もいて、「○○の妻、長男、次男、長女」というような刻銘もあります。一家全員が亡くなってしまい、名前を覚えている人が誰もいない、という状況があるためです。
デザインのコンセプト
平和の火を中心に、世界に向けて平和の波が広がっていく様子が表されています。
1993年にデザインアイディアコンペティションの募集があり、その募集要項に記されたデザインコンセプトは
- 平和の波永遠なれ(EVERLASTING WAVES OF PEACE)
- 鉄の暴風の波濤が平和の波となってわだつみに折り返す
となっていました。
メイン園路
刻銘碑が放射状に並べられたエリアの中心を貫くような形でメイン園路が通っています。メイン園路は中心線が「慰霊の日(6月23日)」の「日の出」の方角となるよう設置されています。
平和の広場
刻銘碑の中心を貫くメイン園路を抜けると、平和の広場に出ます。
平和の広場は断崖絶壁の縁に位置しており、断崖絶壁の下には沖縄の広い海を一望できる絶景ポイントにもなっています。
さざなみの池
平和の広場の中心には「さざなみの池」というモニュメントが設置されており、そのさざなみの池の中心には「平和の火」が灯されています。灯されている平和の火は、
- 沖縄戦最初の上陸地だった座間味村阿嘉島で火打ち石を使って採取した火
- 広島市の平和の灯(ともしび)
- 長崎市の誓いの火
の3つが合わされた火です。
平和の礎(平和記念公園)へのアクセス
那覇市から車で行く場合は、国道331号を約20km南下します。概ね45分くらいかかります。
駐車場は第一、第二と二つあり、どちらも無料で利用可能です。今回紹介した平和の礎には第一駐車場が近いです。
バスを利用して行く場合は、那覇バスターミナルから89番、33番、46番のいずれかで一度「糸満バスターミナル」まで行き、乗り換えで82番のバスに乗車し「平和祈念公園」というバス停で下車します。
平和の礎のまとめ
平和の礎がある平和記念公園は、県内だけでなく県外からの旅行客や修学旅行生が訪れる、定番の観光スポットでもあります。
平和記念公園の中には、今回紹介した平和の礎以外にも
- 平和祈念資料館
- 沖縄平和祈念堂
- 美術展示室
- 国立沖縄戦没者墓苑
など、戦争や平和の尊さを知ることのできる場所がいくつもあります。
平和記念公園は「39.85ヘクタール(東京ドームが8個以上入る)」とかなり広い公園。全て見て回るとなるとそれなりに時間がかかりますので、時間に余裕をもっていくことをオススメします。
コメント