埼玉県民の森で野鳥観察のススメ。標高が高く普段見かけない種類に出会えるバードウォッチングスポットを360度写真付きで紹介

埼玉県民の森の概要

埼玉県民の森は埼玉県秩父郡横瀬町にある、広さ約68万平方メートルの大きな公園です。標高約960メートルの丸山の北に広がる森林に作られたレクリエーションエリアで、県民が森林に対する理解を深めることを目的に開設された森林公園となっています。

広大な敷地を持つ園内には

  • 森林・林業について学べる『展示館』
  • 会議室としても利用できる『森林学習室』
  • 芝生が広がる『中央広場』
  • 水遊びもできる『水辺の広場』
  • 奥武蔵丸山を眺められる『家族広場』
  • バーベキューが楽しめる『デイキャンプ場』
  • 関東平野を見渡せる丸山山頂の『展望台』

など、奥武蔵の自然を満喫できる施設が揃っています。

近くに電車の駅はなく、また最寄りのインターチェンジからも少々離れているためアクセスし辛い場所とはなっていますが、その分とても自然豊かで、都心では見たことのない動植物に出会うこともできるスポットです。

丸山山頂にある展望台からの景色は特に素晴らしく、2015年には埼玉県の指定文化財にも指定されました。

埼玉県民の森は野鳥観察に最適!

埼玉県民の森にはたくさんの動植物が生息していますが、野鳥も例外ではなくバードウォッチングのスポットとしても最適な場所です。

山中の森林という自然豊かな場所ですが、登山道や遊歩道も整備されていますのでバードウォッチング初心者や年配の方でも野鳥観察を楽しむことができます。

埼玉県民の森は標高の高いエリアとなっているため、都心部では見かけない様々な野鳥に出会うことができるのも、バードウォッチングスポットとしての魅力のひとつです。

中でも冬鳥の『オオマシコ』が越冬のために訪れることで知られていて、埼玉県民の森では人気の野鳥となっています。オオマシコは標高1,000メートル級の高地で越冬することが多く、日本国内でも見られる場所は埼玉県民の森と他数カ所のみです。

オオマシコのオスは赤みがかった羽毛を持っていて、冬の質素な景色の中でひときわ目を引く存在で、このオオマシコの姿を一目見ようと、冬の埼玉県民の森へ足を運ぶバードウォッチャーもたくさんいます。

また、オオマシコ以外にも一年を通して様々な野鳥が訪れます。見られる野鳥の種類が豊富なのも埼玉県民の森の魅力です。

なお、バードウォッチングのハイシーズンは落葉樹の葉が落ちて野鳥を観察しやすくなる秋から冬にかけてですが、埼玉県民の森の冬は雪も積もります。車で行く場合はスタッドレスタイヤを履くなど、万全な準備をして行きましょう。

埼玉県民の森で見られる野鳥

留鳥(一年を通して出会える鳥)

留鳥とは繁殖や子育て、越冬などを一定の場所で行う鳥です。渡り鳥のような季節に応じて生息する場所を変える鳥ではありませんので、季節にかかわらず出会える鳥です。ただし、小さい鳥は木の葉っぱが散って枝だけになっている方が見つけやすいなど探しやすさは季節ごとに違いがあります。

  • アオゲラ
  • アオバト
  • アカゲラ
  • エナガ
  • カケス
  • カワラヒワ
  • キジ
  • キセキレイ
  • クマタカ
  • コゲラ
  • ゴジュウカラ
  • シジュウカラ
  • ソウシチョウ
  • ツミ
  • トビ
  • ハクセキレイ
  • ハシボソガラス
  • ヒガラ
  • ヒヨドリ
  • ホオジロ
  • ミソサザイ
  • メジロ
  • モズ
  • ヤマガラ
  • ヤマドリ

カワラヒワ

カワラヒワは体長14センチほどで、スズメと同じくらいの大きさの野鳥です。茶褐色がベースの色で一見地味に見えますが、翼の一部が黄色い羽毛となっていて、飛び立つと黄色い模様が目立ちます。

雛には虫の幼虫を与えますが、成鳥は主に植物の種を好んで食べます。森や林だけでなく、街路樹や庭木などにも巣を作ることで知られています。

コゲラ

枝にとまっているコゲラ

コゲラは日本でもっともよく見られるキツツキの仲間です。体長は15センチほどで日本に生息するキツツキの仲間では最も小さいキツツキとして知られています。

背中は焦げ茶色に白いまだら模様が特徴的で、オスのみ後頭部に赤い羽毛がありますが野外では目視できないほど小さいため、オスメスを見分けるのは難しい鳥です。

雑食性で昆虫や木の実を食べています。キツツキらしく木に穴を開けて隠れている昆虫を捕食することもあります。

留鳥ですが、葉の落ちた冬場に見つけやすい野鳥となっています。

漂鳥

漂鳥とは日本国内で季節に応じて生息場所を変える鳥です。それに対し、移動する距離が長く日本と国外とを行き来する鳥は渡り鳥と呼ばれています。

漂鳥は暖かい季節には北の地域や標高の高い場所に生息し、寒い季節になると南の地域や低地に移動して越冬します。

  • アカウソ
  • ウソ
  • キバシリ
  • コガラ
  • トラツグミ
  • ノスリ
  • ルリビタキ
  • イカル
  • キクイタダキ

トラツグミ

地面に降りているトラツグミの後ろ姿

トラツグミは体長約30センチほどのスズメ目ツグミ科に属する野鳥です。羽毛の色は黄褐色をベースに黒い鱗状の斑がまんべんなく入っていて、トラの模様を連想させる色味となっています。

山地で繁殖を行い、冬は積雪のない地域へと移動します。冬場は市街地の公園などでも見ることができます。

雑食性で、地面に降りて落ち葉をかき分けてミミズなどを捕食します。

ルリビタキ

背を向けているルリビタキ

ルリビタキは体調14センチほどの小さな野鳥です。

バードウォッチャーに人気の鳥で、中でも成長のオスは鮮やかな青い羽毛を持ち見るものを惹きつけます。幼鳥は緑褐色でメスは成長になっても緑褐色のままです。オスが立派な青色の羽毛を手に入れるまで2年以上かかります。

繁殖期以外は単独行動を行っていて、オスもメスも群れることはありません。縄張り意識が強く、その縄張りを見つけることができれば一度飛び去ってしまっても、また同じ場所に戻ってくることも多い鳥です。

夏鳥

夏鳥とは、暖かい春~夏の季節に日本国内に飛来し繁殖活動を行い、秋には日本を離れ国外で越冬する渡り鳥たちのことです。

  • イワツバメ
  • オオルリ
  • キビタキ
  • クロツグミ
  • コサメビタキ
  • センダイムシクイ
  • ホトトギス
  • メボソムシクイ

キビタキ

木の枝にとまるキビタキ

キビタキは体長13~14センチほどの小さな野鳥です。メスは地味な色合いですが、オスは黒をベースとした翼に旨や頭の一部に黄色い羽毛を持ち、カラフルな姿でバードウォッチャーを楽しませてくれます。

昆虫を捕食するため雑木林を好んで住処にしていますので、雑木林を中心に探してみると良いでしょう。また、明け方にオスは縄張りを誇示するために美しい声を発します。鳴き声を頼りに探すのもコツのひとつです。

夏場に日本で繁殖を行ったキビタキは、冬の訪れとともに東南アジアへ渡り越冬し、また暖かい季節に日本に戻ってきます。

メボソムシクイ

メボソムシクイ

メボソムシクイは体長約13センチの野鳥です。頭部から背中にかけては暗めの黄緑色で、目の上には細い眉斑があります。実際の目はもちろん丸い形ですが、この眉斑が細いことからメボソムシクイという名が付きました。

他のコムシクイやオオムシクイなどに比べると、やや黄色みが強く尾羽や翼長が長いという特徴を持っています。

夏場に日本の本州や四国で繁殖を行い、冬は越冬のために中国南東部、台湾、フィリピンなどに渡ります。

冬鳥

冬鳥は秋から冬にかけて日本国内に訪れ越冬する渡り鳥です。春には日本を離れて北へ移動し、繁殖や子育てを行い、また寒い季節に日本に戻ってきます。

  • アトリ
  • イスカ
  • オオマシコ
  • カシラダカ
  • ツグミ
  • マヒワ

オオマシコ

オオマシコと冬景色

オオマシコはスズメ目アトリ科に属する野鳥で、全長は約17センチでスズメより一回りほど大きさを持つ野鳥です。

オスは赤みがかかった羽毛を持ち、腹や後頭部、背中はワインレッドの美しい色となっています。対してメスは全体的に褐色で比較的地味な色合いです。

シベリアの亜熱帯地域で繁殖を行い、中国東部や朝鮮半島で越冬しますが、一部日本まで渡り越冬する個体もあります。

越冬時は標高の高いエリアに生息しているため平地ではなかなか見かけることが無く、山にあるバードウォッチングスポットまで行かないと見ることができない貴重な野鳥と言えます。

ツグミ

地上に降りているツグミ

ツグミは全長約24センチの野鳥です。体調はムクドリと同じくらいですが、ムクドリに比べてスマートな体型となっています。

羽の部分は茶褐色で、お腹や胸側は白と黒のまだら模様が特徴。まだら模様が濃くはっきりとしている個体がオスで、逆に薄い個体がメスです。

地面に降りて餌となる昆虫を探す際に、両足でピョンピョン跳ねるように移動する姿から古くは跳馬とも呼ばれていました。

埼玉県民の森へのアクセス

埼玉県民の森の場所(地図)

電車

最寄り駅は西武秩父線の『芦ヶ久保駅』ですが、駅からは登山道なども含め約1時間30分ほどの道のりとなります。駅から埼玉県民の森の道中も自然豊かなエリアとなっているので、バードウォッチングやハイキングを楽しみながら向かうことができます。

車・駐車場

東京方面から向かう場合は、関越自動車道の『坂戸西スマートインターチェンジ』が最寄りのインターチェンジとなります。ICから埼玉県民の森までは約32キロあり、1時間強の道のりです。

なお、埼玉県民の森には無料の駐車場が備わっています。

埼玉県民の森の野鳥に関するみんなのツイート

埼玉県内のその他バードウォッチングスポット

埼玉県民の森のある埼玉県には、まだまだたくさんのバードウォッチングスポットがあります。

埼玉は海のない県として知られていますが、実は面積に占める河川の割合では日本一です。行政も『川の国埼玉』と銘打って、川の環境保護や再生事業に取り組んでいるため、野鳥が好む自然豊かな水辺が豊富で、野鳥観察に適したスポットが県内各所に存在しています。

都心からアクセスしやすく、気軽に野鳥観察が楽しめるスポットが多いのも埼玉の魅力のひとつと言えるでしょう。

以下の記事では、埼玉県の数あるバードウォッチングスポットの中から初心者でも楽しみやすい場所を厳選して紹介しています。

埼玉県内での探鳥の旅を楽しみたい方は、ぜひご参考ください。
埼玉県の野鳥観察スポット15選!初心者でもバードウォッチングが楽しめる公園などを中心に360度写真付きで紹介します

埼玉県民の森の基本情報

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