芝川第一調節池で野鳥観察のススメ。オオハクチョウも飛来してくる貴重なバードウォッチングスポットを360度写真付きで紹介

芝川第一調節池の概要

芝川第一調節池は埼玉県のさいたま市と川口市にまたがる、調節池です。調節池とは洪水時に一時的に水を貯めることで洪水の最大流量を減らすことを目的に作られた河川管理施設です。

荒川の支流である芝川の左岸「下山口新田、差間地区」と右岸「蓮見新田地区」との両岸に作られた調節池ですが、現状は左岸のみが完成しており、右岸は掘削工事などが今なお進められまだ完成には至っておりません。

広さは両岸合わせると約92万平方メートルあり、最大貯水量は284万トンが予定されています。(すでに完成し、運用が開始されている左岸側の調節池の最大貯水量は200万トンです)

また、この広大なエリアは調節池としてだけでなく、大震火災時には避難拠点としての活用、平時には見沼たんぼの自然環境の保全に役立てることを目的に整備が進められています。

芝川第一調節池は野鳥観察にも最適!

工事の完了している芝川左岸側の調節池は周囲が遊歩道となっていて、一般の方でも調節池の周辺を散策することができます。水辺には多くの野鳥が生息していて、野鳥観察にも最適なスポットです。

最寄り駅からは徒歩20分ほどとアクセスしやすく、歩きやすい遊歩道が整備されているのでバードウォッチング初心者や年配の方でも野鳥観察がしやすいスポットとなっています。

水辺にはサギの仲間やカモ類の他、オオタカなどの猛禽類も飛来してきます。見られる野鳥の種類も豊富で、季節ごとに一年を通して野鳥観察を楽しむことが可能です。

中でも冬場は越冬のために訪れる冬鳥も多く、カモ類やカイツブリなどたくさんの野鳥に出会えます。また、芝川第一調節池はオオハクチョウが飛来してくることでも知られていて、目撃情報が出た際はぜひ足を運びたいバードウォッチングスポットとなっています。埼玉県内に飛来してくるハクチョウはほとんどがコハクチョウで、オオハクチョウが見られるスポットとしてとても貴重な池と言えるでしょう。

夏場は池の周辺にヨシが生い茂り、オオヨシキリをはじめたくさんの小鳥たちを観察することができます。

芝川第一調節池で見られる野鳥

留鳥(一年を通して出会える鳥)

留鳥とは繁殖や子育て、越冬などを一定の場所で行う鳥です。渡り鳥のような季節に応じて生息する場所を変える鳥ではありませんので、季節にかかわらず出会える鳥です。ただし、小さい鳥は木の葉っぱが散って枝だけになっている方が見つけやすいなど探しやすさは季節ごとに違いがあります。

  • アオサギ
  • アカゲラ
  • イソシギ
  • イソヒヨドリ
  • ウグイス
  • エナガ
  • オオタカ
  • オナガ
  • カケス
  • ガビチョウ
  • カルガモ
  • カワウ
  • カワセミ
  • カワラバト
  • カワラヒワ
  • キジ
  • キジバト
  • キセキレイ
  • ゴイサギ
  • コゲラ
  • コサギ
  • コジュケイ
  • シジュウカラ
  • スズメ
  • セイタカシギ
  • セグロセキレイ
  • セッカ
  • ダイサギ
  • チュウヒ
  • チョウゲンボウ
  • トビ
  • ハクセキレイ
  • ハシブトガラス
  • ハシボソガラス
  • ハヤブサ
  • バン
  • ヒバリ
  • ヒメアマツバメ
  • ヒヨドリ
  • ホオジロ
  • ミサゴ
  • ムクドリ
  • メジロ
  • モズ

カワセミ

枝にとまっているカワセミ

カワセミはバードウォッチングをする方にとって人気の高い鳥の一種です。カワセミを漢字で書くと『翡翠』と書くのですが、宝石のヒスイはカワセミからその名が付けられています。カワセミ自体も別名『飛ぶ宝石』とも言われるほど美しい色を持つ鳥です。

体調は約17センチほどで体の大きさの割にクチバシが長いのが特徴的です。背中側は美しいコバルトブルーで、お腹側は鮮やかなオレンジ色となっています。

池や川の水辺の枝などにとまって獲物を探し、獲物が見つかるとスーッと水中に飛び込み小魚を捕まえます。枝などがない場合はホバリングした状態で獲物を探すこともあります。

カワラヒワ

カワラヒワは体長14センチほどで、スズメと同じくらいの大きさの野鳥です。茶褐色がベースの色で一見地味に見えますが、翼の一部が黄色い羽毛となっていて、飛び立つと黄色い模様が目立ちます。

雛には虫の幼虫を与えますが、成鳥は主に植物の種を好んで食べます。森や林だけでなく、街路樹や庭木などにも巣を作ることで知られています。

漂鳥

漂鳥とは日本国内で季節に応じて生息場所を変える鳥です。それに対し、移動する距離が長く日本と国外とを行き来する鳥は渡り鳥と呼ばれています。

漂鳥は暖かい季節には北の地域や標高の高い場所に生息し、寒い季節になると南の地域や低地に移動して越冬します。

芝川第一調節池では基本、晩秋から冬、春の初頭にかけて出会える可能性が高い鳥たちです。

  • アオジ
  • アリスイ
  • オオバン
  • オシドリ
  • カイツブリ
  • クイナ
  • シメ
  • ノスリ
  • ベニマシコ
  • マガモ

オオバン

水面を泳ぐオオバン

オオバンはツル目クイナ科の水鳥です。体長は40センチ弱あり、クイナの仲間では最大となっています。真っ黒い体に真っ白いクチバシとおでこというシンプルな配色が特徴的です。

足には水かきがあり水面を泳ぐのが得意です。水面近くにある水草の葉や種子を食べたり、潜水して水生植物の茎を食べたりします。また、雑食性で時には魚や昆虫を捕食することもあります。

カイツブリ

水面を泳ぐカイツブリ

カイツブリは体長25~30センチほどの水鳥です。カモに似ていますがカイツブリ目カイツブリ科の鳥で、カモではありません。北海道や本州の北エリア、または山地では夏場の暖かい季節のみ生息する漂鳥ですが、本州中部以南の低地では留鳥として一年を通して観察できる野鳥となっています。

ベースの色は茶色ですが、首元の羽毛が夏は赤っぽく、冬は黄色っぽく淡い色に変化します。

体の作りとして歩くのにはバランスが悪いのですが、泳ぐのには適した体となっていて、潜水もとても得意な鳥です。潜水して小魚やエビ、水中の昆虫などを捕食します。

夏鳥

夏鳥とは、暖かい春~夏の季節に日本国内に飛来し繁殖活動を行い、秋には日本を離れ国外で越冬する渡り鳥たちのことです。

  • アカハラ
  • イワツバメ
  • オオヨシキリ
  • キビタキ
  • コアジサシ
  • コチドリ
  • コムクドリ
  • チュウサギ
  • ツバメ
  • ヒクイナ

オオヨシキリ

ヨシの葉にとまるオオヨシキリ

オオヨシキリは体長18センチほどの小さな野鳥です。夏場に飛来して繁殖活動を行い、冬は熱帯地域へ渡り越冬し、また暖かい季節に日本に戻ってきます。

頭部から背中(翼)にかけてはスズメのように茶褐色で、首元から胸、腹にかけては白い羽毛となっています。

食性は動物食で、昆虫を捕まえて食します。イネ科のヨシ(アシ)を切り裂いて中の昆虫を捕食することから、オオヨシキリという名前がつきました。夏場にヨシが群生する湿地帯などを探すと見つけやすい野鳥です。

コチドリ

地面に降りてきたコチドリ

コチドリは体長約16センチほどの、日本に生息するチドリの仲間では最も小さい野鳥です。成鳥は頭部と背中が茶色、腹が白色で、首周りと顔の一部が黒と特徴的な色となっています。また、目の周りには黄色い輪があるのも特徴です。

動物食の鳥で、昆虫やミミズなどを食べる他、浅い水辺に入って水中の昆虫を捕食することもあります。

日本では夏鳥で、夏に本州や九州、四国などで繁殖を行い、越冬のため冬は海外へと渡ります。

冬鳥

冬鳥は秋から冬にかけて日本国内に訪れ越冬する渡り鳥です。春には日本を離れて北へ移動し、繁殖や子育てを行い、また寒い季節に日本に戻ってきます。

  • アトリ
  • オオジュリン
  • オオハクチョウ
  • オカヨシガモ
  • オナガガモ
  • カシラダカ
  • カンムリカイツブリ
  • キンクロハジロ
  • コガモ
  • ジョウビタキ
  • シロハラ
  • タゲリ
  • タヒバリ
  • ツグミ
  • ハイイロチュウヒ
  • ハシビロガモ
  • ハジロカイツブリ
  • ヒドリガモ
  • ホシハジロ
  • ミコアイサ
  • ユリカモメ
  • ヨシガモ

キンクロハジロ

水面に浮かぶキンクロハジロ

キンクロハジロは体長40~45センチほどの、カモ目カモ科に属する野鳥です。

カモの仲間ですが名前にカモは入っておらず、目の周りが黄色、頭部や背中、胸が黒、腹や翼の一部が白というオスの見た目が名前の由来となっています。なお、メスはオスに対して地味な色で体全体が茶褐色です。

夏場にシベリアやヨーロッパの北部など北の地域で繁殖活動を行い、冬に日本等に飛来して越冬します。水に潜って小魚を捕食したり、飛び立つ際に水面を除草するなど見るものを楽しませてくれる野鳥となっています。

ジョウビタキ

枝にとまっているジョウビタキ

ジョウビタキは全長約15センチほどの小さな野鳥です。

ベースの色は薄い茶色に、オスのみ頭が銀白色に顔部分が黒と比較的カラフルな羽毛を持っていますが、メスは翼の一部に白斑があるのみで地味な色味となっていてスズメに見間違えられることもあります。

夏にチベットやロシア極東などで繁殖を行い、冬になれると日本全国に渡り鳥としてやってきますが、近年は日本国内での繁殖も確認されています。

体の小さい鳥は群れることが多いのですが、こんおジョウビタキは群れを作らず単体で暮らしています。

芝川第一調節池へのアクセス

芝川第一調節池の場所(地図)

電車

芝川第一調節池の最寄り駅はJR武蔵野線の『東浦和駅』から徒歩20分ほどです。

最寄りのインターチェンジは東北自動車道の『浦和インターチェンジ』で、ICから芝川第一調節池までは車で10分ほどの距離となっています。

なお、駐車場は芝川第一調節池(左岸)の東側にある『川口自然公園』の駐車場を利用すると良いでしょう。

芝川第一調節池の野鳥に関するツイート

埼玉県内のその他バードウォッチングスポット

芝川第一調節池のある埼玉県には、まだまだたくさんのバードウォッチングスポットがあります。

埼玉は海のない県として知られていますが、実は面積に占める河川の割合では日本一です。行政も『川の国埼玉』と銘打って、川の環境保護や再生事業に取り組んでいるため、野鳥が好む自然豊かな水辺が豊富で、野鳥観察に適したスポットが県内各所に存在しています。

都心からアクセスしやすく、気軽に野鳥観察が楽しめるスポットが多いのも埼玉の魅力のひとつと言えるでしょう。

以下の記事では、埼玉県の数あるバードウォッチングスポットの中から初心者でも楽しみやすい場所を厳選して紹介しています。

埼玉県内での探鳥の旅を楽しみたい方は、ぜひご参考ください。
埼玉県の野鳥観察スポット15選!初心者でもバードウォッチングが楽しめる公園などを中心に360度写真付きで紹介します

芝川第一調節池の基本情報

  • 住所:埼玉県さいたま市緑区下山口新田
  • 料金:無料
  • トイレ:あり(池の東側にある川口自然公園内に公衆トイレあり)
  • 駐車場:あり(川口自然公園の駐車場を利用可能)
  • 伊佐沼公園の公式サイト

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