見沼自然公園で野鳥観察のススメ。水辺の生き物が集うバードウォッチングスポットを360度写真付きで紹介

見沼自然公園の概要

見沼自然公園は埼玉県さいたま市緑区にある広さ約10.9ヘクタールの大きな公園です。公園の東側に隣接する『さぎ山記念公園』を拡張する形で平成6年(1994年)3月に開園しました。

公園の名前にもなっている見沼は昔存在した大きな沼で、見沼自然公園があった場所もその沼の一部でしたが、江戸時代に干拓されました。干拓後も一帯は自然が豊かな緑地空間となっていてい『見沼田んぼ』と呼ばれています。

園内には広大な芝生広場の他、

  • 自然観察園
  • 野鳥の池
  • トンボの池
  • 修景池
  • ゲートボール場

などが設けられています。

見沼自然公園は野鳥観察に最適

見沼自然公園は緑が豊かなことに加え、園内には野鳥の池を始めとした水辺も豊富で野鳥が集まりやすい環境が揃っています。

見沼自然公園のあるエリアは、江戸時代以降にサギが営巣するようになり『野田のサギ山』と呼ばれていました。昭和27年(1952年)には『野田のサギおよびその繁殖地』として国の特別天然記念物にも指定されていた歴史があります。

残念ながらサギの営巣は見られなくなったため昭和59年(1984年)に特別天然記念物の指定は解除されてしまいましたが、現在でもアオサギやダイサギなどサギの仲間が飛来してくることも多く、一年を通してサギを観察することができるスポットです。

見沼自然公園は一年を通してそこに生息している留鳥も多くいますが、海外から渡ってくる渡り鳥が多いのお特徴のひとつです。冬の水辺では越冬するために訪れたオカヨシガモやトモエガモなど、多くの冬鳥を観察できます。

また、夏はキビタキやコチドリなどの夏鳥に加え、稀にサンコウチョウに出会えることもあります。

なお、園内は歩きやすい遊歩道が整備されていて、バードウォッチング初心者さんや年配の方でも野鳥観察がしやすい公園となっています。

見沼自然公園で見られる野鳥

留鳥(一年を通して出会える鳥)

留鳥とは繁殖や子育て、越冬などを一定の場所で行う鳥です。渡り鳥のような季節に応じて生息する場所を変える鳥ではありませんので、季節にかかわらず出会える鳥です。ただし、小さい鳥は木の葉っぱが散って枝だけになっている方が見つけやすいなど探しやすさは季節ごとに違いがあります。

  • アオサギ
  • アカゲラ
  • ウグイス
  • エナガ
  • オオタカ
  • カケス
  • カルガモ
  • カワウ
  • カワセミ
  • カワラバト
  • カワラヒワ
  • キジ
  • キジバト
  • キセキレイ
  • ゴイサギ
  • コゲラ
  • コサギ
  • コジュケイ
  • コブハクチョウ
  • シジュウカラ
  • スズメ
  • セグロセキレイ
  • ダイサギ
  • チョウゲンボウ
  • トビ
  • ハクセキレイ
  • ハシブトガラス
  • ハシボソガラス
  • バン
  • ヒバリ
  • ヒメアマツバメ
  • ヒヨドリ
  • ホオジロ
  • ムクドリ
  • メジロ
  • モズ
  • ヤマガラ

カワセミ

枝にとまっているカワセミ

カワセミはバードウォッチングをする方にとって人気の高い鳥の一種です。カワセミを漢字で書くと『翡翠』と書くのですが、宝石のヒスイはカワセミからその名が付けられています。カワセミ自体も別名『飛ぶ宝石』とも言われるほど美しい色を持つ鳥です。

体調は約17センチほどで体の大きさの割にクチバシが長いのが特徴的です。背中側は美しいコバルトブルーで、お腹側は鮮やかなオレンジ色となっています。

池や川の水辺の枝などにとまって獲物を探し、獲物が見つかるとスーッと水中に飛び込み小魚を捕まえます。枝などがない場合はホバリングした状態で獲物を探すこともあります。

キセキレイ

枝にとまっているキセキレイ

キセキレイは体長約20センチほどの野鳥で、スズメ目セキレイ科に属します。尾羽が長く体長の半分ほどを占め、いつもこの尾羽をフリフリと上下に動かす姿から、「石たたき」や「庭たたき」とも呼ばれます。

胸から腹部、お尻のほうにかけて黄色い羽毛で覆わているのが特徴で、特に夏場は黄色が鮮やかになり、見るものを魅了します。

群れは作らず単独かツガイで行動しています。渓流沿いで生活していることが多いので、水辺付近を探すと良いでしょう。

漂鳥

漂鳥とは日本国内で季節に応じて生息場所を変える鳥です。それに対し、移動する距離が長く日本と国外とを行き来する鳥は渡り鳥と呼ばれています。

漂鳥は暖かい季節には北の地域や標高の高い場所に生息し、寒い季節になると南の地域や低地に移動して越冬します。

見沼自然公園では基本、晩秋から冬、春の初頭にかけて出会える可能性が高い鳥たちです。

  • アオジ
  • ウソ
  • オオバン
  • カイツブリ
  • クイナ
  • シメ
  • トラツグミ
  • ノスリ
  • ハイタカ
  • マガモ
  • キクイタダキ

カイツブリ

水面を泳ぐカイツブリ

カイツブリは体長25~30センチほどの水鳥です。カモに似ていますがカイツブリ目カイツブリ科の鳥で、カモではありません。北海道や本州の北エリア、または山地では夏場の暖かい季節のみ生息する漂鳥ですが、本州中部以南の低地では留鳥として一年を通して観察できる野鳥となっています。

ベースの色は茶色ですが、首元の羽毛が夏は赤っぽく、冬は黄色っぽく淡い色に変化します。

体の作りとして歩くのにはバランスが悪いのですが、泳ぐのには適した体となっていて、潜水もとても得意な鳥です。潜水して小魚やエビ、水中の昆虫などを捕食します。

シメ

シメは体長約18センチのスズメ目アトリ科の野鳥です。スズメよりも若干大きく、色は全身茶褐色がベースで翼の先が黒色となっています。

日本では夏場に北海道で繁殖を行い、寒い季節には本州に渡ってきて越冬します。カエデやムクノキなどの種子を主食としていますので、その付近を探すと良いでしょう。

鳴き声が「シー」と聞こえることから、鳥を意味する接尾語である「メ」からその名がついたと言われています。

夏鳥

夏鳥とは、暖かい春~夏の季節に日本国内に飛来し繁殖活動を行い、秋には日本を離れ国外で越冬する渡り鳥たちのことです。

  • アカハラ
  • オオヨシキリ
  • キビタキ
  • コチドリ
  • サシバ
  • サンコウチョウ
  • チュウサギ
  • ツバメ

キビタキ

木の枝にとまるキビタキ

キビタキは体長13~14センチほどの小さな野鳥です。メスは地味な色合いですが、オスは黒をベースとした翼に旨や頭の一部に黄色い羽毛を持ち、カラフルな姿でバードウォッチャーを楽しませてくれます。

昆虫を捕食するため雑木林を好んで住処にしていますので、雑木林を中心に探してみると良いでしょう。また、明け方にオスは縄張りを誇示するために美しい声を発します。鳴き声を頼りに探すのもコツのひとつです。

夏場に日本で繁殖を行ったキビタキは、冬の訪れとともに東南アジアへ渡り越冬し、また暖かい季節に日本に戻ってきます。

コチドリ

地面に降りてきたコチドリ

コチドリは体長約16センチほどの、日本に生息するチドリの仲間では最も小さい野鳥です。成鳥は頭部と背中が茶色、腹が白色で、首周りと顔の一部が黒と特徴的な色となっています。また、目の周りには黄色い輪があるのも特徴です。

動物食の鳥で、昆虫やミミズなどを食べる他、浅い水辺に入って水中の昆虫を捕食することもあります。

日本では夏鳥で、夏に本州や九州、四国などで繁殖を行い、越冬のため冬は海外へと渡ります。

冬鳥

冬鳥は秋から冬にかけて日本国内に訪れ越冬する渡り鳥です。春には日本を離れて北へ移動し、繁殖や子育てを行い、また寒い季節に日本に戻ってきます。

  • オカヨシガモ
  • オナガガモ
  • カシラダカ
  • コガモ
  • ジョウビタキ
  • シロハラ
  • ツグミ
  • トモエガモ
  • ハシビロガモ
  • ヒドリガモ
  • ヨシガモ

オナガガモ

水面を泳ぐオナガガモのオス

オナガガモはその名の通り尾羽根が長いのが特徴的なカモです。ただし、尾羽根が長いのはオスのみで、メスはオスに比べて尾は短めとなっています。また、体長もオスは75センチほどまで成長するのに対し、メスは55センチほどと体格差もあります。

また、柄もメスは地味な色合いなのに比べ、オスは顔(頭部)が茶褐色ですが首から胸にかけて白い羽毛を持ち、派手ではありませんがユニークな模様を持つ水鳥となっています。

なお、夏場は局地に近いツンドラ地帯で繁殖を行い、冬に日本の本州以南で越冬する冬鳥です。

ジョウビタキ

枝にとまっているジョウビタキ

ジョウビタキは全長約15センチほどの小さな野鳥です。

ベースの色は薄い茶色に、オスのみ頭が銀白色に顔部分が黒と比較的カラフルな羽毛を持っていますが、メスは翼の一部に白斑があるのみで地味な色味となっていてスズメに見間違えられることもあります。

夏にチベットやロシア極東などで繁殖を行い、冬になれると日本全国に渡り鳥としてやってきますが、近年は日本国内での繁殖も確認されています。

体の小さい鳥は群れることが多いのですが、こんおジョウビタキは群れを作らず単体で暮らしています。

見沼自然公園へのアクセス

見沼自然公園の場所(地図)

電車・バス

残念ながら見沼自然公園の近くには電車の駅が無いため、バスを併用する必要があります。なお、最寄り駅は埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線の『浦和美園駅』で、駅から見沼自然公園までは徒歩1時間弱かかります。

バスはJR大宮駅の東口から国際興業バスの

  • さいたま東営業所行き
  • 浦和美園駅西口行き
  • 浦和学院高校行き
  • 浦和東高校行き

に乗車し『締切橋』というバス停で下車します。バス停から見沼自然公園までは徒歩5分ほどです。

なお、締切橋バス停へは

  • JRの『浦和駅』から国際興業バスで『さいたま東営業所行』
  • JRの『東浦和駅』から国際興業バスで『さいたま東営業所行』
  • 埼玉高速鉄道の『浦和美園駅』から国際興業バスで『大宮駅東口行き』

でも行くことができます。

車・駐車場

見沼自然公園には無料の駐車場(収容台数198台)が備わっていて、車でのお出かけに便利です。最寄りのインターチェンジは東北自動車道の『浦和インターチェンジ』で、ICから見沼自然公園までは車で10~15分ほどとアクセスしやすい場所に位置しています。

見沼自然公園の野鳥に関するみんなのツイート

埼玉県内のその他バードウォッチングスポット

見沼自然公園のある埼玉県には、まだまだたくさんのバードウォッチングスポットがあります。

埼玉は海のない県として知られていますが、実は面積に占める河川の割合では日本一です。行政も『川の国埼玉』と銘打って、川の環境保護や再生事業に取り組んでいるため、野鳥が好む自然豊かな水辺が豊富で、野鳥観察に適したスポットが県内各所に存在しています。

都心からアクセスしやすく、気軽に野鳥観察が楽しめるスポットが多いのも埼玉の魅力のひとつと言えるでしょう。

以下の記事では、埼玉県の数あるバードウォッチングスポットの中から初心者でも楽しみやすい場所を厳選して紹介しています。

埼玉県内での探鳥の旅を楽しみたい方は、ぜひご参考ください。
埼玉県の野鳥観察スポット15選!初心者でもバードウォッチングが楽しめる公園などを中心に360度写真付きで紹介します

見沼自然公園の基本情報

  • 住所:埼玉県さいたま市緑区大字南部領辻450-1
  • 料金:無料
  • トイレ:あり
  • 駐車場:あり(無料)
  • 公式サイト

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