舞岡公園の概要
舞岡公園は神奈川県横浜市にある、敷地面積約28万5千平方メートルの大きな公園です。このエリアに広がる谷戸の地形を活かして作られた起伏のある園内には雑木林や池、田んぼなど自然豊かな公園となっています。
横浜市の市立公園ですが、地元の市民団体の協力を得て運営が行われています。急速に進む都市開発で多くの自然が失われていく中、市と市民団体とが自然残すために自然公園の設置を計画し、1996年に全面オープンしました。
広い園内には遊歩道やトイレなどの設備のほか、古民家(旧金子家)や水車小屋、田畑などが設けられていて、自然とともに暮らしていた頃の風景が残っています。
舞岡公園は野鳥観察にも最適
自然が色濃く残る舞岡公園には昆虫やリス、ザリガニやドジョウなど野生の動植物がたくさん生息しています。野鳥も例外ではなく、一年を通して見られる留鳥から、海外からも飛来してくる渡り鳥など数多くの野鳥を観察することができる公園です。
広い園内には雑木林だけでなく池や田んぼなどの環境も揃っているため、見られる野鳥の種類が多いのが特徴となっています。
中でも冬に『ヤマシギ』が越冬のため訪れることで知られていて、目撃情報が出るとたくさんのバードウォッチャーがヤマシギを一目見ようと足を運びます。関東においてヤマシギは飛来してくるケースが少ない野鳥ですが、ここ舞岡公園は毎年ヤマシギを見られる貴重なスポットとなっています。
なお、園内の大半は雑木林ですが歩きやすい遊歩道も整備されていて、また各所に休憩所や公衆トイレもありますので年配の方でもバードウォッチングを楽しみやすいのが魅力のひとつです。
また、横浜市より指定を受けて舞岡公園の運営を行っているNPO法人『舞岡・やまひと未来』が主催する野鳥観察会も定期的に行われていますので、バードウォッチング初心者の方は参加してみるのも良いでしょう。
野鳥観察会の開催日や参加のお申し込み方法などは、公式サイトをご確認ください。
野鳥観察のポイント
舞岡公園の全域が野鳥観察のポイントと言えますが、水辺や湿地帯に野鳥が集まりやすく、また観察もしやすいので、まずは水辺を散策してみると良いでしょう。舞岡公園には小さな池が複数ある他、湿地帯も複数あります。
水辺では越冬のために訪れたカモ類の他、バードウォッチャーに人気のカワセミもよく出没します。
また、舞岡公園には『きざはしの谷戸保護区』という人の立ち入りを制限した保護区もあり、そちらもバードウォッチングのスポットとなっています。
バードウォッチング初心者さんの場合は闇雲に野鳥を探すのも良いですが、カメラを構えた方がたくさんいる場所を探すのも良いでしょう。ヤマシギやカワセミなどに出会える確率が上がりお勧めです。
なお、舞岡公園では一年を通して様々な野鳥を観察することができますが、バードウォッチングに向いているのは冬です。レア度の高いヤマシギが見られることもありますが、木々の葉が落ちて野鳥を探しやすくなるためです。
舞岡公園で見られる野鳥
留鳥(一年を通して出会える鳥)
留鳥とは繁殖や子育て、越冬などを一定の場所で行う鳥です。渡り鳥のような季節に応じて生息する場所を変える鳥ではありませんので、季節にかかわらず出会える鳥です。ただし、小さい鳥は木の葉っぱが散って枝だけになっている方が見つけやすいなど探しやすさは季節ごとに違いがあります。
- アオゲラ
- アオサギ
- アカゲラ
- ウグイス
- エナガ
- オオタカ
- カケス
- ガビチョウ
- カルガモ
- カワウ
- カワセミ
- カワラバト
- カワラヒワ
- キジバト
- キセキレイ
- ゴイサギ
- コゲラ
- コサギ
- コジュケイ
- シジュウカラ
- スズメ
- セグロセキレイ
- ダイサギ
- ツミ
- トビ
- ハクセキレイ
- ハシブトガラス
- ハシボソガラス
- バン
- ヒヨドリ
- ホオジロ
- ミサゴ
- ムクドリ
- メジロ
- モズ
- ヤマガラ
- エゾビタキ
- オオアカハラ
コゲラ
コゲラは日本でもっともよく見られるキツツキの仲間です。体長は15センチほどで日本に生息するキツツキの仲間では最も小さいキツツキとして知られています。
背中は焦げ茶色に白いまだら模様が特徴的で、オスのみ後頭部に赤い羽毛がありますが野外では目視できないほど小さいため、オスメスを見分けるのは難しい鳥です。
雑食性で昆虫や木の実を食べています。キツツキらしく木に穴を開けて隠れている昆虫を捕食することもあります。
留鳥ですが、葉の落ちた冬場に見つけやすい野鳥となっています。
ハクセキレイ
ハクセキレイは体長約21センチほどの野鳥です。スマートな体型をしていて、尾羽根が少し長いのが特徴となっています。
頭部から背中にかけて黒色もしくは灰色で腹部は白色で、首元にも黒色が入っています。雄の夏羽は黒色となりコントラストがはっきりとします。
昔、関東では冬鳥として知られていましたが、繁殖地が南下し1970年代以降は東京での繁殖も確認され留鳥となっています。
漂鳥
漂鳥とは日本国内で季節に応じて生息場所を変える鳥です。それに対し、移動する距離が長く日本と国外とを行き来する鳥は渡り鳥と呼ばれています。
漂鳥は暖かい季節には北の地域や標高の高い場所に生息し、寒い季節になると南の地域や低地に移動して越冬します。
舞岡公園では基本、晩秋から冬、春の初頭にかけて出会える可能性が高い鳥たちです。
- アオジ
- アリスイ
- ウソ
- オオバン
- カイツブリ
- クイナ
- クロジ
- シメ
- トラツグミ
- ノスリ
- ハイタカ
- ベニマシコ
- マガモ
- ルリビタキ
- イカル
アオジ
アオジは体長16センチほどで、スズメよりやや大きな小鳥です。
翼は茶褐色で模様などもスズメに似ているためよく間違えられますが、胸から腹にかけて緑がかった薄い黄色の羽毛が特徴。アオジの『アオ』は緑色も含めた古い意味での青が由来と言われています。
夏に北海道や本州北部で繁殖を行い、冬になると積雪の殆どない地域へと移動して冬を越します。中にはロシアや中国から越冬するために日本に飛来する種のアオジもいます。
カイツブリ
カイツブリは体長25~30センチほどの水鳥です。カモに似ていますがカイツブリ目カイツブリ科の鳥で、カモではありません。北海道や本州の北エリア、または山地では夏場の暖かい季節のみ生息する漂鳥ですが、本州中部以南の低地では留鳥として一年を通して観察できる野鳥となっています。
ベースの色は茶色ですが、首元の羽毛が夏は赤っぽく、冬は黄色っぽく淡い色に変化します。
体の作りとして歩くのにはバランスが悪いのですが、泳ぐのには適した体となっていて、潜水もとても得意な鳥です。潜水して小魚やエビ、水中の昆虫などを捕食します。
夏鳥
夏鳥とは、暖かい春~夏の季節に日本国内に飛来し繁殖活動を行い、秋には日本を離れ国外で越冬する渡り鳥たちのことです。
- アカハラ
- オオヨシキリ
- キビタキ
- コサメビタキ
- コチドリ
- ササゴイ
- サンショウクイ
- チュウサギ
- ツツドリ
- ツバメ
- ヒクイナ
- ホトトギス
- ヤブサメ
アカハラ
アカハラは成長だと全長24センチほどになる比較的大きな野鳥です。胸からお腹辺りまでオレンジ色の羽毛に覆われているのが名前の由来となっています。
明るく開けた場所で地上に降りてミミズや昆虫などを捕食します。
真夏の繁殖期には標高の高い場所で繁殖を行うため、舞岡公園でアカハラを探す場合は春がお勧めです。
ササゴイ
ササゴイは全長52センチほどのペリカン目サギ科に属する野鳥です。灰色がベースの色合いで頭部は青みがかった濃いグレーになっています。頭部の後ろの方に伸長する羽毛が数本あるのが特徴的です。
羽毛の外縁(羽縁)が白く笹の葉に見えることから『ササゴイ』という名がついたと言われています。
夏に日本に飛来して繁殖を行う夏鳥で、本州や四国、九州地方で見ることができます。なお、国内でも九州以南では越冬する個体もいることが確認されています。
動物食で、川や池などの水辺で魚などを捕食します。中には水面に物を落として近づいてくる獲物を捕食する頭の良い個体もいるそうです。
冬鳥
冬鳥は秋から冬にかけて日本国内に訪れ越冬する渡り鳥です。春には日本を離れて北へ移動し、繁殖や子育てを行い、また寒い季節に日本に戻ってきます。
- アトリ
- オオジュリン
- オジロビタキ
- オナガガモ
- カシラダカ
- キンクロハジロ
- コガモ
- ジョウビタキ
- シロハラ
- タシギ
- ツグミ
- トモエガモ
- ニシオジロビタキ
- ハシビロガモ
- ホシハジロ
- マヒワ
- ヤマシギ
キンクロハジロ
キンクロハジロは体長40~45センチほどの、カモ目カモ科に属する野鳥です。
カモの仲間ですが名前にカモは入っておらず、目の周りが黄色、頭部や背中、胸が黒、腹や翼の一部が白というオスの見た目が名前の由来となっています。なお、メスはオスに対して地味な色で体全体が茶褐色です。
夏場にシベリアやヨーロッパの北部など北の地域で繁殖活動を行い、冬に日本等に飛来して越冬します。水に潜って小魚を捕食したり、飛び立つ際に水面を除草するなど見るものを楽しませてくれる野鳥となっています。
ツグミ
ツグミは全長約24センチの野鳥です。体調はムクドリと同じくらいですが、ムクドリに比べてスマートな体型となっています。
羽の部分は茶褐色で、お腹や胸側は白と黒のまだら模様が特徴。まだら模様が濃くはっきりとしている個体がオスで、逆に薄い個体がメスです。
地面に降りて餌となる昆虫を探す際に、両足でピョンピョン跳ねるように移動する姿から古くは跳馬とも呼ばれていました。
旅鳥
旅鳥とは夏に日本より北の地域で繁殖し、冬は日本より下の地域に渡り越冬する野鳥で、渡りの途中で日本に立ち寄る渡り鳥です。
旅鳥は基本、春と秋に飛来してきますが、どちらか一方の季節だけに飛来してくるケースもあります。
舞岡公園には『エゾビタキ』や『オオアカハラ』などの旅鳥が飛来してくることがあります。
舞岡公園へのアクセス
舞岡公園の場所(地図)
電車
最寄り駅は、横浜市営地下鉄ブルーラインの『舞岡駅』で、駅から公園までは徒歩30分ほどです。JRの戸塚駅からバスで行くこともできます。
車・駐車場
横浜横須賀道路の『日野インターチェンジ』から公園まで車で15分弱と、アクセスしやすい場所にあります。
なお、舞岡公園には有料駐車場が設けられていて、駐車料金は
- 最初の2時間300円
- その後20分ごとに50円
です。
駐車場の営業時間は『6時~21時』となっていますのでご注意ください。
舞岡公園の野鳥に関するみんなのツイート
RF35F1.8と70-200F4Lの2本でいつもの自然公園をスナップ散歩。最近お気に入りの組み合わせ。
バードウォッチングで有名な場所なので、でっかい望遠で野鳥をねらう人達が今日も大勢。
それを横目に1人静かに歩いていたら、向こうから超至近距離に寄ってくる子がいてびっくりw#eosr #舞岡公園 pic.twitter.com/XjAXIhq4d2— tAk (@RoomtAk) January 15, 2022
(2018/02/18)横浜市舞岡公園にて。野鳥撮影は「見つける」という楽しみもあっていいですね。宝物を見つけたような気持ちになれます。#野鳥#カワセミ pic.twitter.com/EEenNKzIpm
— ソラヤ (@Citrine_Drop) February 27, 2018
クイナ(Water rail 冬鳥)を見ていて、新横浜公園の東側の広いエリア(鶴見川右岸の立入できない場所・貴重な生物生息空間)にこの野鳥を招待したくなった。(舞岡公園1/13) pic.twitter.com/1SH0BHjp08
— Yoshio Ichikawa (@ShichuanFangnan) January 13, 2021
2020.2.24
舞岡公園で野鳥も撮る
タシギ?、コゲラ、シジュウカラ、ガビチョウ pic.twitter.com/jXXHwQ2tvP— やますた (@Cj4aYama) February 24, 2020
見つけるのが大変だったヤマシギ
2022 3/6 撮影 #鳥 #野鳥 #シギ #ヤマシギ #舞岡公園 pic.twitter.com/vzriKTl88d— あずき (@Toritori216) March 24, 2022
神奈川県内のその他バードウォッチングスポット
神奈川県内には舞岡公園以外にもまだまだたくさんのバードウォッチングスポットがあります。横浜などの大都市を抱えているため都会のイメージが強い神奈川ですが、意外にも自然が残るスポットも多く、野鳥観察が楽しめる場所も豊富です。
海沿いの公園や都市公園、標高の高いエリアなど環境も様々で、見られる野鳥が豊富なところも魅力のひとつです。また、電車などで都心からのアクセスしやすいスポットも多く、初心者でも野鳥観察が楽しみやすい場所も多いのが特徴です。
以下の記事では神奈川県内の数あるバードウォッチングスポットのうち、初心者でも楽しみやすいスポットを中心に複数紹介しています。神奈川県内でバードウォッチングを楽しむ際の参考にしてください。
▶神奈川県の野鳥観察スポット11選!初心者でもバードウォッチングが楽しみやすい公園や池などを360写真付きで紹介
舞岡公園の基本情報
- 住所:神奈川県横浜市戸塚区舞岡町1764
- 電話番号:045-824-0107(小谷戸の里 事務所の電話番号)
- 料金:無料
- トイレ:あり
- 駐車場:あり(有料)
- 舞岡公園の公式サイト
- 園内マップ(PDF)
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