境川遊水地公園で野鳥観察のススメ。ビオトープのあるバードウォッチングスポットを360度写真付きで紹介

境川遊水地公園の概要

境川遊水地公園は神奈川県横浜市と藤沢市にまたがる、敷地面積約30ヘクタールの公園です。横浜市と藤沢市の市境を流れる境川の治水ために設けられていた遊水地の上部空間を有効活用するために、県立公園として整備されました。

境川遊水地公園の遊水地は『今田遊水地』『下飯田遊水地』『俣野遊水地』の3つの遊水地で構成されています。

なお、公園が全面オープンしたのは令和元年7月で、比較的新しい公園です。

公園は大きく

  • 自然創出ゾーン(一次池)
  • 広場ゾーン(二次池)

に分かれていて、今田遊水地にあたる自然創出ゾーンには

  • ビオトープ
  • 芝生広場
  • 噴水(じゃぶじゃぶ池)
  • 草の広場

下飯田遊水地と俣野遊水地にあたる広場ゾーンには、

  • テニスコート
  • サッカーなどができる多目的グランド
  • 野球場
  • ビオトープ

などが整備されていて、老若男女たくさんの方が利用する憩いの場となっています。

境川遊水地公園は野鳥観察にも最適!

境川遊水地公園は、境川の自然を活かして各遊水地にビオトープが整備されています。

なお、ビオトープとはギリシャ語の『bio(生命)』と『topos(場所)』とを組み合わせた、命ある動植物が安定して生息できる『安息の地』という意味を持つ造語です。

境川遊水地公園のビオトープもたくさんの命を育んでいて、野鳥も例外ではありません。一年を通して季節ごとに様々な野鳥が訪れる人気のバードウォッチングスポットとなっています。

池の周辺にはヨシやガマなど背の高い草が植えられていて、野鳥が暮らしやすい湿地帯を形成しているなど複数の環境が整っていることで、見られる野鳥の種類が豊富なのが境川遊水地公園の魅力のひとつです。

越冬のために飛来してきたカモ類などはもちろん、旅鳥として知られるシギの仲間も観察することができます。また、飛ぶ宝石とも言われるカワセミや見ごたえのあるサギの仲間、猛禽類のオオタカやノスリなど、バードウォッチャーに人気の野鳥が目白押しとなっています。

ビオトープの周辺には歩きやすい遊歩道も設置されていて、バードウォッチング初心者さんや年配の方でも安心して野鳥観察を楽しむことが可能です。

また、境川遊水地公園のセンターには学芸員が常駐しており、定期的に野鳥観察会などのイベントが開催されます。バードウォッチング初心者さんは参加してみると良いでしょう。スケジュールや申込方法等については境川遊水地公園のイベント公式ブログをご確認ください。

境川遊水地公園で見られる野鳥

留鳥(一年を通して出会える鳥)

留鳥とは繁殖や子育て、越冬などを一定の場所で行う鳥です。渡り鳥のような季節に応じて生息する場所を変える鳥ではありませんので、季節にかかわらず出会える鳥です。ただし、小さい鳥は木の葉っぱが散って枝だけになっている方が見つけやすいなど探しやすさは季節ごとに違いがあります。

  • アオサギ
  • イカルチドリ
  • イソシギ
  • イソヒヨドリ
  • ウグイス
  • エナガ
  • オオタカ
  • オナガ
  • ガビチョウ
  • カルガモ
  • カワウ
  • カワセミ
  • カワラヒワ
  • キジ
  • キセキレイ
  • ゴイサギ
  • コゲラ
  • コサギ
  • コジュケイ
  • シジュウカラ
  • セイタカシギ
  • セグロセキレイ
  • セッカ
  • ダイサギ
  • チョウゲンボウ
  • トビ
  • ハクセキレイ
  • ハヤブサ
  • バン
  • ヒバリ
  • ヒメアマツバメ
  • ヒヨドリ
  • ホオジロ
  • ミサゴ
  • ムクドリ
  • メジロ
  • モズ
  • エゾビタキ
  • キアシシギ
  • クロハラアジサシ
  • コアオアシシギ

カワラヒワ

カワラヒワは体長14センチほどで、スズメと同じくらいの大きさの野鳥です。茶褐色がベースの色で一見地味に見えますが、翼の一部が黄色い羽毛となっていて、飛び立つと黄色い模様が目立ちます。

雛には虫の幼虫を与えますが、成鳥は主に植物の種を好んで食べます。森や林だけでなく、街路樹や庭木などにも巣を作ることで知られています。

ヒヨドリ

木の枝に止まって囀るヒヨドリ

ヒヨドリは全長75センチほどのスズメ目ヒヨドリ科の野鳥です。ほっそりとした体型をしていて、尾羽は10センチ以上と長めとなっています。

全体が灰色がかった地味な色合いで、目の下に茶色いラインが入っています。

昆虫も捕食しますが、花の蜜や果実が好物で、梅や桜の花が咲くと密を吸っている姿をよく見かけます。

なお、1970年頃までは10月頃に東京に訪れる冬鳥として知られていましたが、現在は一年を通してその場で生息している留鳥となっています

漂鳥

漂鳥とは日本国内で季節に応じて生息場所を変える鳥です。それに対し、移動する距離が長く日本と国外とを行き来する鳥は渡り鳥と呼ばれています。

漂鳥は暖かい季節には北の地域や標高の高い場所に生息し、寒い季節になると南の地域や低地に移動して越冬します。

境川遊水地公園では基本、晩秋から冬、春の初頭にかけて出会える可能性が高い鳥たちです。

  • アオジ
  • オオバン
  • カイツブリ
  • クイナ
  • クロジ
  • シメ
  • ノスリ
  • ハイタカ
  • ホオアカ
  • マガモ

カイツブリ

水面を泳ぐカイツブリ

カイツブリは体長25~30センチほどの水鳥です。カモに似ていますがカイツブリ目カイツブリ科の鳥で、カモではありません。北海道や本州の北エリア、または山地では夏場の暖かい季節のみ生息する漂鳥ですが、本州中部以南の低地では留鳥として一年を通して観察できる野鳥となっています。

ベースの色は茶色ですが、首元の羽毛が夏は赤っぽく、冬は黄色っぽく淡い色に変化します。

体の作りとして歩くのにはバランスが悪いのですが、泳ぐのには適した体となっていて、潜水もとても得意な鳥です。潜水して小魚やエビ、水中の昆虫などを捕食します。

シメ

シメは体長約18センチのスズメ目アトリ科の野鳥です。スズメよりも若干大きく、色は全身茶褐色がベースで翼の先が黒色となっています。

日本では夏場に北海道で繁殖を行い、寒い季節には本州に渡ってきて越冬します。カエデやムクノキなどの種子を主食としていますので、その付近を探すと良いでしょう。

鳴き声が「シー」と聞こえることから、鳥を意味する接尾語である「メ」からその名がついたと言われています。

夏鳥

夏鳥とは、暖かい春~夏の季節に日本国内に飛来し繁殖活動を行い、秋には日本を離れ国外で越冬する渡り鳥たちのことです。

  • イワツバメ
  • オオヨシキリ
  • コチドリ
  • チュウサギ
  • ツバメ
  • ノビタキ
  • ヒクイナ
  • ヨシゴイ

オオヨシキリ

ヨシの葉にとまるオオヨシキリ

オオヨシキリは体長18センチほどの小さな野鳥です。夏場に飛来して繁殖活動を行い、冬は熱帯地域へ渡り越冬し、また暖かい季節に日本に戻ってきます。

頭部から背中(翼)にかけてはスズメのように茶褐色で、首元から胸、腹にかけては白い羽毛となっています。

食性は動物食で、昆虫を捕まえて食します。イネ科のヨシ(アシ)を切り裂いて中の昆虫を捕食することから、オオヨシキリという名前がつきました。夏場にヨシが群生する湿地帯などを探すと見つけやすい野鳥です。

コチドリ

地面に降りてきたコチドリ

コチドリは体長約16センチほどの、日本に生息するチドリの仲間では最も小さい野鳥です。成鳥は頭部と背中が茶色、腹が白色で、首周りと顔の一部が黒と特徴的な色となっています。また、目の周りには黄色い輪があるのも特徴です。

動物食の鳥で、昆虫やミミズなどを食べる他、浅い水辺に入って水中の昆虫を捕食することもあります。

日本では夏鳥で、夏に本州や九州、四国などで繁殖を行い、越冬のため冬は海外へと渡ります。

冬鳥

冬鳥は秋から冬にかけて日本国内に訪れ越冬する渡り鳥です。春には日本を離れて北へ移動し、繁殖や子育てを行い、また寒い季節に日本に戻ってきます。

ジョウビタキ

枝にとまっているジョウビタキ

ジョウビタキは全長約15センチほどの小さな野鳥です。

ベースの色は薄い茶色に、オスのみ頭が銀白色に顔部分が黒と比較的カラフルな羽毛を持っていますが、メスは翼の一部に白斑があるのみで地味な色味となっていてスズメに見間違えられることもあります。

夏にチベットやロシア極東などで繁殖を行い、冬になれると日本全国に渡り鳥としてやってきますが、近年は日本国内での繁殖も確認されています。

体の小さい鳥は群れることが多いのですが、こんおジョウビタキは群れを作らず単体で暮らしています。

ヒドリガモ

群れで水面を漂うヒドリガモ

ヒドリガモはオスの体長が約50センチ、メスが40センチほどのカモです。マガモやコガモと同様、日本ではよく目にするポピュラーなカモとなっています。

見た目はオスのほうが派手な色合いとなっていて、顔は茶色いがベースに額から頭頂部にかけてクリーム色のラインが入っています。背中側は灰色ですが尾羽根に近い先の方は美しい黒色となっています。

ユーラシア大陸の北部で繁殖を行い、越冬のために日本などに渡ります。日本では冬に全国で観察することができます。淡水の池だけでなく、海上や海岸でみかけることも多い野鳥です。

旅鳥

枝に止まるエゾビタキ

旅鳥とは夏に日本より北の地域で繁殖し、冬は日本より下の地域に渡り越冬する野鳥で、渡りの途中で日本に立ち寄る渡り鳥です。

旅鳥は基本、春と秋に飛来してきますが、どちらか一方の季節だけに飛来してくるケースもあります。

境川遊水地公園には

  • エゾビタキ
  • キアシシギ
  • クロハラアジサシ
  • コアオアシシギ

などの旅鳥が訪れます。

境川遊水地公園へのアクセス

境川遊水地公園の場所(地図)

電車

境川遊水地公園は

  • 小田急線の『六会日大前駅』:徒歩20~30分
  • 小田急江ノ島線・相鉄いずみ野線・横浜市営地下鉄の『湘南台駅』:徒歩30分
  • 横浜市営地下鉄の『下飯田駅』:徒歩20~25分

と複数の路線や駅を利用することが可能です。

車・駐車場

境川遊水地公園は横浜新道の『上矢部インターチェンジ』から車で20~30分ほどの距離です。

なお『今田遊水地』『下飯田遊水地』『俣野遊水地』それぞれに無料の駐車場が備わっています。

境川遊水地公園の野鳥に関するみんなのツイート

神奈川県内のその他バードウォッチングスポット

神奈川県内には東高根森林公園以外にもまだまだたくさんのバードウォッチングスポットがあります。横浜などの大都市を抱えているため都会のイメージが強い神奈川ですが、意外にも自然が残るスポットも多く、野鳥観察が楽しめる場所も豊富です。

海沿いの公園や都市公園、標高の高いエリアなど環境も様々で、見られる野鳥が豊富なところも魅力のひとつです。また、電車などで都心からのアクセスしやすいスポットも多く、初心者でも野鳥観察が楽しみやすい場所も多いのが特徴です。

以下の記事では神奈川県内の数あるバードウォッチングスポットのうち、初心者でも楽しみやすいスポットを中心に複数紹介しています。神奈川県内でバードウォッチングを楽しむ際の参考にしてください。
神奈川県の野鳥観察スポット11選!初心者でもバードウォッチングが楽しみやすい公園や池などを360写真付きで紹介

境川遊水地公園の基本情報

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