浅羽ビオトープの概要
浅羽ビオトープは埼玉県坂戸市を流れる清流『高麗川』の河川敷に設けられたビオトープです。ビオトープとはギリシャ語の『bio(生命)』と『topos(場所)』とを組み合わせた造語で、命ある動植物が安定して生息できる『安息の地』という意味を持ちます。
浅羽ビオトープは埼玉県のふるさとの川整備事業により2003年に整備され、ビオトープ内にはクヌギなどの木が植樹されている他、遊歩道も設けられ水辺を散策できるような作りとなっています。
晴れた日には浅羽ビオトープの遊歩道から富士山を望むこともでき、その景色は関東富士見百景にも選ばれています。
浅羽ビオトープは野鳥観察にも最適
浅羽ビオトープはその名の通り動植物の生息域が安定的に守られるよう、自然がとても豊かな公園です。高麗川の水を引き込んで作られた小川やワンドなどもあり、多くの生態系を育むエリアとなっています。
緑豊かなことに加え水辺もあることから多くの野鳥も生息しており、野鳥観察にも最適なスポットです。
水辺ではバードウォッチャーに人気のカワセミに出会えたり、見応えのあるアオサギやダイサギなどサギの仲間を観察することもできます。また、越冬のために訪れる冬鳥も多く、ヒレンジャクなど普段は見かけない珍しい野鳥に出会えるのも、浅羽ビオトープの魅力のひとつです。
なお、浅羽ビオトープ内は遊歩道が整備されていて歩きやすく、バードウォッチング初心者さんや年配の方でも野鳥観察を楽しみやすい環境と整っています。最寄り駅からも徒歩20分ほどとアクセスしやすく、気軽にバードウォッチングを楽しむことが可能です。
浅羽ビオトープで見られる野鳥
留鳥(一年を通して出会える鳥)
留鳥とは繁殖や子育て、越冬などを一定の場所で行う鳥です。渡り鳥のような季節に応じて生息する場所を変える鳥ではありませんので、季節にかかわらず出会える鳥です。ただし、小さい鳥は木の葉っぱが散って枝だけになっている方が見つけやすいなど探しやすさは季節ごとに違いがあります。
- アオゲラ
- アオサギ
- イカルチドリ
- イソシギ
- ウグイス
- エナガ
- オオタカ
- オナガ
- カケス
- ガビチョウ
- カルガモ
- カワウ
- カワセミ
- カワラヒワ
- キジ
- キジバト
- キセキレイ
- ゴイサギ
- コゲラ
- コサギ
- コジュケイ
- シジュウカラ
- スズメ
- セグロセキレイ
- ダイサギ
- チョウゲンボウ
- トビ
- ハクセキレイ
- ハシブトガラス
- ハシボソガラス
- ヒヨドリ
- ホオジロ
- ムクドリ
- メジロ
- モズ
エナガ
エナガは柄杓の柄のような長い尾羽が特徴的な小さな鳥です。全長は尾羽を含めると13~14センチほどあり、また胴体の部分も羽が丸く膨らんでいるため実際より大きく見えますが、実際はとても小さい鳥で体重は8グラムほどしかありません。
スズメの体重が24グラムほどなので、スズメの半分以下の体重です。日本で一番小さい『キクイタダキ』の5グラムに次いで、日本で二番目に小さい鳥となっています。
コゲラ
コゲラは日本でもっともよく見られるキツツキの仲間です。体長は15センチほどで日本に生息するキツツキの仲間では最も小さいキツツキとして知られています。
背中は焦げ茶色に白いまだら模様が特徴的で、オスのみ後頭部に赤い羽毛がありますが野外では目視できないほど小さいため、オスメスを見分けるのは難しい鳥です。
雑食性で昆虫や木の実を食べています。キツツキらしく木に穴を開けて隠れている昆虫を捕食することもあります。
留鳥ですが、葉の落ちた冬場に見つけやすい野鳥となっています。
漂鳥
漂鳥とは日本国内で季節に応じて生息場所を変える鳥です。それに対し、移動する距離が長く日本と国外とを行き来する鳥は渡り鳥と呼ばれています。
漂鳥は暖かい季節には北の地域や標高の高い場所に生息し、寒い季節になると南の地域や低地に移動して越冬します。
浅羽ビオトープでは基本、晩秋から冬、春の初頭にかけて出会える可能性が高い鳥たちです。
- アオジ
- オオバン
- クイナ
- クロジ
- シメ
- ノスリ
- ハイタカ
- ベニマシコ
- イカル
アオジ
アオジは体長16センチほどで、スズメよりやや大きな小鳥です。
翼は茶褐色で模様などもスズメに似ているためよく間違えられますが、胸から腹にかけて緑がかった薄い黄色の羽毛が特徴。アオジの『アオ』は緑色も含めた古い意味での青が由来と言われています。
夏に北海道や本州北部で繁殖を行い、冬になると積雪の殆どない地域へと移動して冬を越します。中にはロシアや中国から越冬するために日本に飛来する種のアオジもいます。
シメ
シメは体長約18センチのスズメ目アトリ科の野鳥です。スズメよりも若干大きく、色は全身茶褐色がベースで翼の先が黒色となっています。
日本では夏場に北海道で繁殖を行い、寒い季節には本州に渡ってきて越冬します。カエデやムクノキなどの種子を主食としていますので、その付近を探すと良いでしょう。
鳴き声が「シー」と聞こえることから、鳥を意味する接尾語である「メ」からその名がついたと言われています。
夏鳥
夏鳥とは、暖かい春~夏の季節に日本国内に飛来し繁殖活動を行い、秋には日本を離れ国外で越冬する渡り鳥たちのことです。
- キビタキ
- コチドリ
- センダイムシクイ
- チュウサギ
- ツバメ
- ヒクイナ
キビタキ
キビタキは体長13~14センチほどの小さな野鳥です。メスは地味な色合いですが、オスは黒をベースとした翼に旨や頭の一部に黄色い羽毛を持ち、カラフルな姿でバードウォッチャーを楽しませてくれます。
昆虫を捕食するため雑木林を好んで住処にしていますので、雑木林を中心に探してみると良いでしょう。また、明け方にオスは縄張りを誇示するために美しい声を発します。鳴き声を頼りに探すのもコツのひとつです。
夏場に日本で繁殖を行ったキビタキは、冬の訪れとともに東南アジアへ渡り越冬し、また暖かい季節に日本に戻ってきます。
センダイムシクイ
センダイムシクイは体長が12.5センチほどのとても小さく愛らしい野鳥です。翼となる背中側は淡い緑色、腹は白い羽毛で、頭部には細長い淡色斑を持っています。
渡り鳥で、日本には繁殖のために夏に訪れる夏鳥です。冬になるとマレー半島などの東南アジアへと渡ります。
食性は昆虫などを捕食する動物食で、木の枝から木の枝へと移動して葉の裏に隠れている昆虫を探して捕食します。
メボソムシクイなどと見分けるのが難しいですが、「チヨ チヨ ヴイー」と最後に「ヴイー」と特徴的な鳴き方をしますので、その声を頼りに探すと良いでしょう。
冬鳥
冬鳥は秋から冬にかけて日本国内に訪れ越冬する渡り鳥です。春には日本を離れて北へ移動し、繁殖や子育てを行い、また寒い季節に日本に戻ってきます。
- アトリ
- カシラダカ
- キレンジャク
- クサシギ
- コガモ
- ジョウビタキ
- シロハラ
- タシギ
- ツグミ
- ヒレンジャク
- マヒワ
ジョウビタキ
ジョウビタキは全長約15センチほどの小さな野鳥です。
ベースの色は薄い茶色に、オスのみ頭が銀白色に顔部分が黒と比較的カラフルな羽毛を持っていますが、メスは翼の一部に白斑があるのみで地味な色味となっていてスズメに見間違えられることもあります。
夏にチベットやロシア極東などで繁殖を行い、冬になれると日本全国に渡り鳥としてやってきますが、近年は日本国内での繁殖も確認されています。
体の小さい鳥は群れることが多いのですが、こんおジョウビタキは群れを作らず単体で暮らしています。
ヒレンジャク
ヒレンジャクは体調18~19センチほどの鳥で、体の色は赤茶がかった淡褐色がベースですが、翼の先端部は黒や灰色、尾っぽの先は赤いのが特徴となっています。また、頭部には冠羽があるのも特徴のひとつです。
シベリアや中国北東部で繁殖していますが、自然環境の悪化で絶滅が危惧されています。日本には冬鳥として越冬のために飛来してきます。繁殖期は昆虫食ですが、日本に飛来してくるタイミングでは果実類を好んで食べるようになります。
日本に飛来してくる個体数は少なく、バードウォッチャーにとっては希少性の高い野鳥と言えるでしょう。
旅鳥
旅鳥とは夏に日本より北の地域で繁殖し、冬は日本より下の地域に渡り越冬する野鳥で、渡りの途中で日本に立ち寄る渡り鳥です。
旅鳥は基本、春と秋に飛来してきますが、どちらか一方の季節だけに飛来してくるケースもあります。
浅羽ビオトープには『エゾビタキ』や『オオムシクイ』などの旅鳥が訪れることがあります。
浅羽ビオトープへのアクセス
浅羽ビオトープの場所(地図)
電車
最寄り駅は東武東上線の『坂戸駅』で、駅から浅羽ビオトープまでは徒歩20分ほどです。
車・駐車場
最寄りのインターチェンジは関越自動車道の『坂戸西スマートインターチェンジ』で、ICから浅羽ビオトープまでは車で10分ほどです。
なお、浅羽ビオトープには無料駐車場が備わっています。また、駐車場には公衆トイレも設置されています。
浅羽ビオトープの野鳥に関するみんなのツイート
カルガモの雛、10羽もいる! この大きさになるまで減らずに(?)よく無事に育ったものだ。雛というか幼鳥 7/9撮影 浅羽ビオトープ 野鳥 ツバメの幼鳥とこれくらいしか鳥撮れなかった。(^^;;) pic.twitter.com/65LBoQ5jc7
— ロスレガ (@Rothlega) July 12, 2019
おはようございます。
もずさん#浅羽ビオトープ#野鳥#百舌 pic.twitter.com/h86wvTcAjD— ミスジの金海苑 (@kinkaien) February 18, 2022
坂戸 浅羽ビオトープを散歩。あおじ、青しじゅうから、つぐみ、そして最後まで分からなかったカオグロガビチョウ。北風吹く寒い中だったが、野鳥の宝庫で沢山の野鳥撮りの方とすれ違いました。😀 pic.twitter.com/3Q7lp8Ug9p
— コアス (@koas15) February 10, 2019
夕方、久しぶりに野鳥観察に行ってきました。@
浅羽ビオトープ
鳥の動きは素早いので撮るタイミングが難しかったです。
カワセミが撮れて良かったです。 pic.twitter.com/vVj5lgrquB— いしやん#39 (@ishi920) January 3, 2020
埼玉県内のその他バードウォッチングスポット
浅羽ビオトープのある埼玉県には、まだまだたくさんのバードウォッチングスポットがあります。
埼玉は海のない県として知られていますが、実は面積に占める河川の割合では日本一です。行政も『川の国埼玉』と銘打って、川の環境保護や再生事業に取り組んでいるため、野鳥が好む自然豊かな水辺が豊富で、野鳥観察に適したスポットが県内各所に存在しています。
都心からアクセスしやすく、気軽に野鳥観察が楽しめるスポットが多いのも埼玉の魅力のひとつと言えるでしょう。
以下の記事では、埼玉県の数あるバードウォッチングスポットの中から初心者でも楽しみやすい場所を厳選して紹介しています。
埼玉県内での探鳥の旅を楽しみたい方は、ぜひご参考ください。
▶埼玉県の野鳥観察スポット15選!初心者でもバードウォッチングが楽しめる公園などを中心に360度写真付きで紹介します
浅羽ビオトープの基本情報
- 住所:埼玉県坂戸市浅羽
- 料金:無料
- トイレ:あり
- 駐車場:あり(無料)
- 公式サイト
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