葛西臨海公園で野鳥観察のススメ。都内最大規模のバードウォッチングスポットを360度写真付きで紹介

葛西臨海公園の概要

葛西臨海公園は東京都江戸川区にある敷地面積が80ヘクタール以上のとても大きな都立公園です。ラムサール条約湿地にも登録される葛西海浜公園と隣接していて、西なぎさとは橋で繋がっています。

葛西臨海公園と葛西海浜公園は隣接する2つの公園ですが、一般的にはこの2つの公園を合わせて『葛西臨海公園』と呼ばれることが多いため、この記事では葛西臨海公園と呼び方を統一して紹介したいと思います。

広大な園内には

  • 水族館(葛西臨海水族園)
  • 鳥類園(ウォッチングセンター)
  • 展望レストラン(クリスタルビュー)
  • 観覧車(ダイヤと花の大観覧車)
  • 宿泊施設(ホテルシーサイド江戸川)
  • 芝生広場
  • バーベキュー広場
  • 蓮池
  • 遊具のあるわくわく広場
  • 人工干潟(東なぎさ・西なぎさ)

など、様々なレジャー施設が揃っていて休日にはたくさんの人が訪れ、年間の来園者数は400万人にも登る都内の一大レジャースポットです。

水族館を除き入園料は無料で、また最寄り駅から徒歩1分とアクセスの便が良いのも葛西臨海公園の魅力となっています。

葛西臨海公園は野鳥観察にも最適

葛西臨海公園はその名の通り海に面した公園ですが、沖合には都内唯一の自然の干潟『三枚洲』があり、またその干潟を保全するために人工干潟『東なぎさ』『西なぎさ』も設けられています。これら干潟はラムサール条約にも登録され、水鳥の宝庫となっています。

また、公園の東側には広大な森の中に淡水の池、汽水の池の2つの池を有する『鳥類園ゾーン』が設けられ、野鳥観察に最適な環境が揃っています。

野鳥園には観察小屋やウォッチングセンターなどが整備されている他、土日・祝日には『NPO法人生態教育センター』の専門スタッフの方がいて野鳥に関する質問ができるなど、バードウォッチング初心者にとっても野鳥観察を楽しみやすいスポットと言えるでしょう。

定期的に『鳥類園ナイトウォッチング』などの野鳥観察会も開催されていますので、初心者の方は参加してみるのもお勧めです。

葛西臨海公園の野鳥観察ポイント

西なぎさ

干潮時には干潟が出現する西なぎさではカモメやシギ、チドリなどたくさんの水鳥を観察することができます。

一年を通して季節ごとに様々な野鳥が飛来してきますが、中でも越冬のために訪れるカモ類やカモメの仲間などの冬鳥はとても多く、冬がハイシーズンと言えるでしょう、

なお、東なぎさは一般客の立ち入りが制限されているため、野鳥は人のいない東なぎさに集まりやすいです。西なぎさで野鳥観察をする場合は、人がまだ少ない早い時間にスタートすることをお勧めします。

また、東なぎさも観察できるように望遠の双眼鏡などを持参しましょう。

鳥類園ゾーン:ウォッチングセンター

葛西臨海公園の東部にある鳥類園ゾーンには、野鳥に関する映像等が展示されているコーナーやレクチャールーム等もあるウォッチングセンターが設けられています。

先にも書いた通り土日・祝日にはNPO法人生態教育センターの専門スタッフの方が野鳥観察に関するお手伝いをしています。バードウォッチング初心者の方は、まずはウォッチングセンターに足を運び、スタッフの方からお勧めポイントや野鳥観察の楽しみ方などのレクチャーを受けると良いでしょう。

なお、毎月第2日曜日の14時~15時に、NPO法人生態教育センターのスタッフさんによるガイドツアーも開催されています。詳しくは公式ブログをご確認ください。

鳥類園ゾーン:上の池・下の池

鳥類園ゾーンには『上の池(淡水)』『下の池(汽水)』という2つの池が備わっていて、そちらも野鳥が飛来してくるバードウォッチングスポットとなっています。それぞれ観察舎や観察窓が設置されていて、様々な野鳥を間近で観察することができます。

どちらの池もバードウォッチャーに人気のカワセミも飛来してくることで知られています。上の池の観察窓の近くには止まり木が設置されていて、間近でカワセミを観察することができるかもしれませんので、ぜひ足を運びたいポイントのひとつです。

葛西臨海公園で見られる野鳥

留鳥(一年を通して出会える鳥)

留鳥とは繁殖や子育て、越冬などを一定の場所で行う鳥です。渡り鳥のような季節に応じて生息する場所を変える鳥ではありませんので、季節にかかわらず出会える鳥です。ただし、小さい鳥は木の葉っぱが散って枝だけになっている方が見つけやすいなど探しやすさは季節ごとに違いがあります。

  • アオサギ
  • イソシギ
  • イソヒヨドリ
  • エナガ
  • オオタカ
  • オナガ
  • カルガモ
  • カワセミ
  • カワラヒワ
  • キセキレイ
  • ゴイサギ
  • コウノトリ
  • コゲラ
  • コサギ
  • シジュウカラ
  • セイタカシギ
  • セグロセキレイ
  • ダイサギ
  • チュウヒ
  • チョウゲンボウ
  • トビ
  • ハクセキレイ
  • バン
  • ヒバリ
  • ヒメアマツバメ
  • ヒヨドリ
  • ミサゴ
  • メジロ
  • モズ
  • ヤマガラ

アオサギ

海辺を歩くアオサギ

アオサギは体長が90センチ以上にもなる、日本で見られるサギの仲間では最大の鳥です。体が大きく見ごたえがあることからバードウォッチングではとても人気の野鳥となっています。

成鳥は足や首がスラリと長く、頭には黒い冠羽があります。背(翼)部分は灰色ですが、それがくすんだ青色に見えるのがアオサギという名前の由来と言われています。(諸説あります)

アオサギは浅い水辺で魚や両生類などの捕まえて食べていますが、時に小鳥を捕食することもあります。また、他の鳥から獲物を横取りすることでも知られています。

ハクセキレイ

ハクセキレイ

ハクセキレイは体長約21センチほどの野鳥です。スマートな体型をしていて、尾羽根が少し長いのが特徴となっています。

頭部から背中にかけて黒色もしくは灰色で腹部は白色で、首元にも黒色が入っています。雄の夏羽は黒色となりコントラストがはっきりとします。

昔、関東では冬鳥として知られていましたが、繁殖地が南下し1970年代以降は東京での繁殖も確認され留鳥となっています。

漂鳥

漂鳥とは日本国内で季節に応じて生息場所を変える鳥です。それに対し、移動する距離が長く日本と国外とを行き来する鳥は渡り鳥と呼ばれています。

漂鳥は暖かい季節には北の地域や標高の高い場所に生息し、寒い季節になると南の地域や低地に移動して越冬します。

葛西臨海公園では基本、晩秋から冬、春の初頭にかけて出会える可能性が高い鳥たちです。

  • アオジ
  • ウミネコ
  • オオセグロカモメ
  • オオバン
  • カイツブリ
  • クイナ
  • トラツグミ
  • ノスリ
  • ハイタカ
  • ビンズイ
  • マガモ
  • ルリビタキ

アオジ

枝の上のアオジ

アオジは体長16センチほどで、スズメよりやや大きな小鳥です。

翼は茶褐色で模様などもスズメに似ているためよく間違えられますが、胸から腹にかけて緑がかった薄い黄色の羽毛が特徴。アオジの『アオ』は緑色も含めた古い意味での青が由来と言われています。

夏に北海道や本州北部で繁殖を行い、冬になると積雪の殆どない地域へと移動して冬を越します。中にはロシアや中国から越冬するために日本に飛来する種のアオジもいます。

オオバン

水面を泳ぐオオバン

オオバンはツル目クイナ科の水鳥です。体長は40センチ弱あり、クイナの仲間では最大となっています。真っ黒い体に真っ白いクチバシとおでこというシンプルな配色が特徴的です。

足には水かきがあり水面を泳ぐのが得意です。水面近くにある水草の葉や種子を食べたり、潜水して水生植物の茎を食べたりします。また、雑食性で時には魚や昆虫を捕食することもあります。

夏鳥

夏鳥とは、暖かい春~夏の季節に日本国内に飛来し繁殖活動を行い、秋には日本を離れ国外で越冬する渡り鳥たちのことです。

  • アカハラ
  • アマサギ
  • オオヨシキリ
  • キビタキ
  • コアジサシ
  • コチドリ
  • コムクドリ
  • シロチドリ
  • チュウサギ
  • ツバメ
  • ヒクイナ
  • ヨシゴイ

キビタキ

木の枝にとまるキビタキ

キビタキは体長13~14センチほどの小さな野鳥です。メスは地味な色合いですが、オスは黒をベースとした翼に旨や頭の一部に黄色い羽毛を持ち、カラフルな姿でバードウォッチャーを楽しませてくれます。

昆虫を捕食するため雑木林を好んで住処にしていますので、雑木林を中心に探してみると良いでしょう。また、明け方にオスは縄張りを誇示するために美しい声を発します。鳴き声を頼りに探すのもコツのひとつです。

夏場に日本で繁殖を行ったキビタキは、冬の訪れとともに東南アジアへ渡り越冬し、また暖かい季節に日本に戻ってきます。

コチドリ

地面に降りてきたコチドリ

コチドリは体長約16センチほどの、日本に生息するチドリの仲間では最も小さい野鳥です。成鳥は頭部と背中が茶色、腹が白色で、首周りと顔の一部が黒と特徴的な色となっています。また、目の周りには黄色い輪があるのも特徴です。

動物食の鳥で、昆虫やミミズなどを食べる他、浅い水辺に入って水中の昆虫を捕食することもあります。

日本では夏鳥で、夏に本州や九州、四国などで繁殖を行い、越冬のため冬は海外へと渡ります。

冬鳥

冬鳥は秋から冬にかけて日本国内に訪れ越冬する渡り鳥です。春には日本を離れて北へ移動し、繁殖や子育てを行い、また寒い季節に日本に戻ってきます。

  • ウミアイサ
  • オオジュリン
  • オカヨシガモ
  • オナガガモ
  • カモメ
  • カンムリカイツブリ
  • キンクロハジロ
  • クロツラヘラサギ
  • コガモ
  • ジョウビタキ
  • シロハラ
  • スズガモ
  • セグロカモメ
  • タシギ
  • タヒバリ
  • ツグミ
  • ハシビロガモ
  • ハジロカイツブリ
  • ヒドリガモ
  • ヘラサギ
  • ホオジロガモ
  • ホシハジロ
  • ミヤコドリ
  • ユリカモメ

カンムリカイツブリ

求愛中のカンムリカイツブリ

カンムリカイツブリは全長約56センチほどのカイツブリ目カイツブリ科に属する野鳥です。カイツブリ目の中ではクビナガカイツブリ類の次に大きな種類で、日本で見られるカイツブリの仲間では最大となっています。

その名の通り頭頂部に冠のような冠羽を持っているのが特徴です。また首周りにも飾り羽を持っていて、求愛時に冠羽と飾り羽を立ててダンスします。

日本では冬鳥に分類されますが、本州や北海道で繁殖する個体も増えてきています。大きな群れを作ることで知られていて、時には千羽を超える群れが見られることもあります。

ジョウビタキ

枝にとまっているジョウビタキ

ジョウビタキは全長約15センチほどの小さな野鳥です。

ベースの色は薄い茶色に、オスのみ頭が銀白色に顔部分が黒と比較的カラフルな羽毛を持っていますが、メスは翼の一部に白斑があるのみで地味な色味となっていてスズメに見間違えられることもあります。

夏にチベットやロシア極東などで繁殖を行い、冬になれると日本全国に渡り鳥としてやってきますが、近年は日本国内での繁殖も確認されています。

体の小さい鳥は群れることが多いのですが、こんおジョウビタキは群れを作らず単体で暮らしています。

旅鳥

旅鳥とは夏に日本より北の地域で繁殖し、冬は日本より下の地域に渡り越冬する野鳥で、渡りの途中で日本に立ち寄る渡り鳥です。

旅鳥は基本、春と秋に飛来してきますが、どちらか一方の季節だけに飛来してくるケースもあります。

  • アオアシシギ
  • アジサシ
  • ウズラシギ
  • オオソリハシシギ
  • キアシシギ
  • キョウジョシギ
  • クロハラアジサシ
  • コアオアシシギ
  • ソリハシシギ
  • ダイシャクシギ
  • チュウシャクシギ
  • ハマシギ
  • ホウロクシギ
  • ヤツガシラ

アオアシシギ

アオアシシギ

アオアシシギは全長約35センチほどのチドリ目シギ科の野鳥です。足が青みがかっているのが名前の由来となりますが、実際は薄っすらと緑味のある灰色となっています。

背中は茶褐色でお腹は白と少し地味な色合いですが、足やくちばしは細長く、スマートな印象を持つ鳥です。

ユーラシア大陸で繁殖を行い東南アジアやインド、アフリカなどに渡って越冬します。日本へは渡りの途中となる春や秋に飛来し、その姿を見せてくれます。昆虫や両生類を捕食するため、田んぼや湿地帯で見つけることが可能です

葛西臨海公園へのアクセス

葛西臨海公園の場所(地図)

電車

JR京葉線の『葛西臨海公園』が最寄り駅で、駅から公園までは徒歩1分と電車でアクセスしやすい公園となっています。

車・駐車場

最寄りのインターチェンジは首都高速湾岸線の『葛西IC』で、ICを降りてすぐの場所です。

なお、葛西臨海公園には収容台数181台の大型の有料駐車場が備わっています。駐車料金は

  • 最初の1時間:300円
  • 以後20分ごと:100円
  • 月~金は入庫後12時間最大料金:1,200円
    ※土日祝日に最大料金の設定はありませんのでご注意ください

葛西臨海公園の野鳥に関するみんなのツイート

東京都内のその他バードウォッチングスポット

石神井公園のある東京には、まだまだたくさんのバードウォッチングスポットがあります。大都会であるにも関わらず、野鳥が生息できる自然が残された場所も点在していて、観察できる野鳥も意外に豊富です。

以下の記事では、東京都内にあるバードウォッチングスポットを厳選して紹介しています。

東京都内の野鳥観察スポット21選!バードウォッチングに最適な公園などを360度写真付きで紹介します

都内なのでアクセスの便は良く、また基本は公園など遊歩道が整備された歩きやすい場所となっていますので、バードウォッチング初心者でも気軽に野鳥観察を楽しめる環境ばかりです。

東京都内で野鳥観察をする場合は、ぜひご参考ください。

葛西臨海公園の基本情報

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