八丁湖で野鳥観察のススメ。オシドリやオオハクチョウにも出会えるバードウォッチングスポットを360度写真付きで紹介

八丁湖の概要

八丁湖は埼玉県比企郡吉見町にある、江戸時代に水田耕作のために造られた人造湖です。昔は「八丁八反の沼」と呼ばれていましたが、面積が八丁八反というわけではなく、実際は周囲約2キロメートル、満水時の面積は52,000平方メートルの湖です。

なお、吉見町には同じような水田耕作のための溜池が複数ありますが、八丁湖が比企地区の中で最大の人造湖となっています。

比企丘陵自然公園内に位置し、湖の外周はウォーキングコースとして遊歩道が整備されています。また、公園の周辺(北側)には

  • トレッキングコース
  • 自然植物観察コース
  • 野鳥観察コース
  • 丘陵コース

などの遊歩道が整備されていて、比企丘陵に残る自然を観察しながら散歩を楽しむことができます。他にも八丁湖の東側にはキャンプ場があり、アウトドアスポットとしても知られています。

八丁湖は野鳥観察にも最適!

八丁湖の周辺は木々が生い茂る緑豊かなエリアとなっていて、たくさんの動植物が暮らしています。

野鳥も例外ではなく、水辺にはバードウォッチャーに人気のアオサギなどサギの仲間やカワセミなどが訪れる他、冬は越冬のために飛来してきたカモ類で賑わいをみせます。

八丁湖にはオシドリが飛来してくることでも知られています。オシドリが見られる池や湖はそう多くありませんので、貴重なバードウォッチングスポットと言えるでしょう。

また、湖の周辺は雑木林が広がっていますが、歩きやすい遊歩道が整備されていて野鳥観察にも最適な環境となっています。バードウォッチング初心者さんや年配の方でものんびりと散歩をしながら気軽に野鳥観察を楽しめるのが八丁湖の魅力のひとつです。

野鳥観察コースなどのある湖北側には『黒岩横穴群』という、古墳時代に作られたと推定される横穴墓群もあり、バードウォッチングと同時に観光も楽しめるスポットとなっています。

八丁湖で見られる野鳥

留鳥(一年を通して出会える鳥)

留鳥とは繁殖や子育て、越冬などを一定の場所で行う鳥です。渡り鳥のような季節に応じて生息する場所を変える鳥ではありませんので、季節にかかわらず出会える鳥です。ただし、小さい鳥は木の葉っぱが散って枝だけになっている方が見つけやすいなど探しやすさは季節ごとに違いがあります。

  • アオゲラ
  • アオサギ
  • アカゲラ
  • ウグイス
  • エナガ
  • ガビチョウ
  • カルガモ
  • カワウ
  • カワセミ
  • コゲラ
  • シジュウカラ
  • スズメ
  • ダイサギ
  • ハクセキレイ
  • ハシブトガラス
  • ヒヨドリ
  • メジロ
  • モズ
  • ヤマガラ

ハクセキレイ

ハクセキレイ

ハクセキレイは体長約21センチほどの野鳥です。スマートな体型をしていて、尾羽根が少し長いのが特徴となっています。

頭部から背中にかけて黒色もしくは灰色で腹部は白色で、首元にも黒色が入っています。雄の夏羽は黒色となりコントラストがはっきりとします。

昔、関東では冬鳥として知られていましたが、繁殖地が南下し1970年代以降は東京での繁殖も確認され留鳥となっています。

ヒヨドリ

木の枝に止まって囀るヒヨドリ

ヒヨドリは全長75センチほどのスズメ目ヒヨドリ科の野鳥です。ほっそりとした体型をしていて、尾羽は10センチ以上と長めとなっています。

全体が灰色がかった地味な色合いで、目の下に茶色いラインが入っています。

昆虫も捕食しますが、花の蜜や果実が好物で、梅や桜の花が咲くと密を吸っている姿をよく見かけます。

なお、1970年頃までは10月頃に東京に訪れる冬鳥として知られていましたが、現在は一年を通してその場で生息している留鳥となっています

漂鳥

漂鳥とは日本国内で季節に応じて生息場所を変える鳥です。それに対し、移動する距離が長く日本と国外とを行き来する鳥は渡り鳥と呼ばれています。

漂鳥は暖かい季節には北の地域や標高の高い場所に生息し、寒い季節になると南の地域や低地に移動して越冬します。

八丁湖では基本、晩秋から冬、春の初頭にかけて出会える可能性が高い鳥たちです。

  • アオジ
  • オオバン
  • オシドリ
  • カイツブリ
  • クロジ
  • シメ
  • ベニマシコ
  • マガモ
  • ルリビタキ

オシドリ

水面を進むオシドリ

オシドリはオスの体長45センチ前後、メスが40センチほどでオスのほうが若干体の大きな水鳥です。体の大きさだけでなく、オスは少し派手な色彩となっているのに対し、メスは地味な色合いの鳥となっています。

「オシドリ夫婦」という言葉の由来にもなっていて、ツガイで行動していることが多く、その仲睦まじい姿からバードウォッチングの対象としても人気の高い野鳥です。

暖かい季節に北海道などの北の地域で繁殖を行い、冬場は本州以南に移動して越冬する漂鳥ですが、海外から渡ってくる冬鳥のオシドリもいるようです。

ルリビタキ

背を向けているルリビタキ

ルリビタキは体調14センチほどの小さな野鳥です。

バードウォッチャーに人気の鳥で、中でも成長のオスは鮮やかな青い羽毛を持ち見るものを惹きつけます。幼鳥は緑褐色でメスは成長になっても緑褐色のままです。オスが立派な青色の羽毛を手に入れるまで2年以上かかります。

繁殖期以外は単独行動を行っていて、オスもメスも群れることはありません。縄張り意識が強く、その縄張りを見つけることができれば一度飛び去ってしまっても、また同じ場所に戻ってくることも多い鳥です。

夏鳥

夏鳥とは、暖かい春~夏の季節に日本国内に飛来し繁殖活動を行い、秋には日本を離れ国外で越冬する渡り鳥たちのことです。

  • アカハラ
  • オオルリ
  • キビタキ

アカハラ

木の枝にとまるアカハラ

アカハラは成長だと全長24センチほどになる比較的大きな野鳥です。胸からお腹辺りまでオレンジ色の羽毛に覆われているのが名前の由来となっています。

明るく開けた場所で地上に降りてミミズや昆虫などを捕食します。

真夏の繁殖期には標高の高い場所で繁殖を行うため、八丁湖でアカハラを探す場合は春がお勧めです。

キビタキ

木の枝にとまるキビタキ

キビタキは体長13~14センチほどの小さな野鳥です。メスは地味な色合いですが、オスは黒をベースとした翼に旨や頭の一部に黄色い羽毛を持ち、カラフルな姿でバードウォッチャーを楽しませてくれます。

昆虫を捕食するため雑木林を好んで住処にしていますので、雑木林を中心に探してみると良いでしょう。また、明け方にオスは縄張りを誇示するために美しい声を発します。鳴き声を頼りに探すのもコツのひとつです。

夏場に日本で繁殖を行ったキビタキは、冬の訪れとともに東南アジアへ渡り越冬し、また暖かい季節に日本に戻ってきます。

冬鳥

冬鳥は秋から冬にかけて日本国内に訪れ越冬する渡り鳥です。春には日本を離れて北へ移動し、繁殖や子育てを行い、また寒い季節に日本に戻ってきます。

  • アトリ
  • オオハクチョウ
  • オナガガモ
  • カシラダカ
  • カンムリカイツブリ
  • キンクロハジロ
  • コガモ
  • ジョウビタキ
  • シロハラ
  • ツグミ
  • ヒドリガモ
  • ホシハジロ

キンクロハジロ

水面に浮かぶキンクロハジロ

キンクロハジロは体長40~45センチほどの、カモ目カモ科に属する野鳥です。

カモの仲間ですが名前にカモは入っておらず、目の周りが黄色、頭部や背中、胸が黒、腹や翼の一部が白というオスの見た目が名前の由来となっています。なお、メスはオスに対して地味な色で体全体が茶褐色です。

夏場にシベリアやヨーロッパの北部など北の地域で繁殖活動を行い、冬に日本等に飛来して越冬します。水に潜って小魚を捕食したり、飛び立つ際に水面を除草するなど見るものを楽しませてくれる野鳥となっています。

ヒドリガモ

群れで水面を漂うヒドリガモ

ヒドリガモはオスの体長が約50センチ、メスが40センチほどのカモです。マガモやコガモと同様、日本ではよく目にするポピュラーなカモとなっています。

見た目はオスのほうが派手な色合いとなっていて、顔は茶色いがベースに額から頭頂部にかけてクリーム色のラインが入っています。背中側は灰色ですが尾羽根に近い先の方は美しい黒色となっています。

ユーラシア大陸の北部で繁殖を行い、越冬のために日本などに渡ります。日本では冬に全国で観察することができます。淡水の池だけでなく、海上や海岸でみかけることも多い野鳥です。

八丁湖へのアクセス

八丁湖の場所(地図)

電車

残念がら八丁湖から徒歩圏内には電車の駅がありません。最寄り駅は東武東上線の『東松山駅』ですが、徒歩1時間以上かかってしまいます。

車・駐車場

関越自動車道の『東松山インターチェンジ』が最寄りのインターチェンジです。ICから八丁湖までは車で約20分の距離となっています。

なお、八丁湖には隣接する「八丁湖公園」に町営の無料駐車場が備わっています。

八丁湖の野鳥に関するみんなのツイート

埼玉県内のその他バードウォッチングスポット

八丁湖のある埼玉県には、まだまだたくさんのバードウォッチングスポットがあります。

埼玉は海のない県として知られていますが、実は面積に占める河川の割合では日本一です。行政も『川の国埼玉』と銘打って、川の環境保護や再生事業に取り組んでいるため、野鳥が好む自然豊かな水辺が豊富で、野鳥観察に適したスポットが県内各所に存在しています。

都心からアクセスしやすく、気軽に野鳥観察が楽しめるスポットが多いのも埼玉の魅力のひとつと言えるでしょう。

以下の記事では、埼玉県の数あるバードウォッチングスポットの中から初心者でも楽しみやすい場所を厳選して紹介しています。

埼玉県内での探鳥の旅を楽しみたい方は、ぜひご参考ください。
埼玉県の野鳥観察スポット15選!初心者でもバードウォッチングが楽しめる公園などを中心に360度写真付きで紹介します

八丁湖の基本情報

  • 住所:埼玉県比企郡吉見町黒岩
  • 料金:無料
  • トイレ:あり
  • 駐車場:あり(無料)

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