権現山(弘法山公園)での野鳥観察のススメ。ハイキングをしながらバードウォッチングも楽しめるスポットを360度写真付きで紹介

権現山(弘法山公園)の概要

権現山は神奈川県秦野市にある標高243メートルの小高い山です。隣接する弘法山(標高234m)と浅間山(196m)との間に位置し、この隣接する3つの山一帯が『弘法山公園』として県立自然公園に指定されています。

弘法山公園には歩きやすく整備された山道が設けられ、人気のハイキングコースとなっています。山道の途中途中にはトイレやベンチ、テーブルなど休憩できる設備も整っていて、ハイキング初心者や女性、年配の方でも楽しみやすい環境です。

また、権現山の山頂には展望台も設けられていて、約2,000本の桜と富士山を一望できる絶景スポットにもなっています。権現山山頂の展望台からの景色は『関東の富士見百景』にも選ばれています。

権現山(弘法山公園)は野鳥観察にも最適

自然が広がる権現山には、野鳥をはじめたくさんの野生動植物が暮らしています。とは言え、冒頭でも書いた通りハイキングコースが整備されていますので誰でも自然の中を散策しやすく、野鳥観察にも最適なスポットです。

また、頂上付近には野鳥の生息域を保全するために人の立ち入りを制限した『バードサンクチュアリ』も設けられていて、野鳥が集まりやすい環境が保たれているのも、バードウォッチングスポットとしての魅力のひとつとなっています。

権現山のバードサンクチュアリには観察窓も設置されていて、環境保全だけでなくバードウォッチングを通じて野鳥のことを学べる自然体験型の施設としても機能しています。

権現山(弘法山公園)-バードサンクチュアリの観察窓

観察窓から見える場所には水を溜めたバードバス(水場)が設置されていて、運が良ければ小鳥が水遊びをするシーンを観ることも可能です。水場にはメジロやキビタキ、シジュウカラやヤマガラなど、様々な小鳥が訪れバードウォッチャーを楽しませてくれます。

権現山(弘法山公園)-観察窓から見える水場

なお、観察窓での野鳥観察は間近で野鳥を観ることができる反面、人が多いタイミングでは野鳥も警戒してしまい観察窓から見える範囲に訪れないことも多いです。観察窓から間近で野鳥を観察したい場合は、平日の早い時間など人が少ない時間帯を狙って行くのがお勧めです。

もちろん、観察窓以外でもたくさんの野鳥に出会うことができ、権現山(弘法山公園)全域がバードウォッチングスポットとなっていますので、観察窓から野鳥が見えない場合は、付近を散策することで、普段街中では見かけない貴重な野鳥にたくさん出会うことができるでしょう。

権現山(弘法山公園)で見られる野鳥

留鳥(一年を通して出会える鳥)

留鳥とは繁殖や子育て、越冬などを一定の場所で行う鳥です。渡り鳥のような季節に応じて生息する場所を変える鳥ではありませんので、季節にかかわらず出会える鳥です。ただし、小さい鳥は木の葉っぱが散って枝だけになっている方が見つけやすいなど探しやすさは季節ごとに違いがあります。

  • アオゲラ
  • アオバト
  • アカゲラ
  • イソヒヨドリ
  • ウグイス
  • エナガ
  • オオタカ
  • カケス
  • ガビチョウ
  • カワセミ
  • カワラヒワ
  • キジ
  • キジバト
  • キセキレイ
  • コゲラ
  • ゴジュウカラ
  • シジュウカラ
  • セグロセキレイ
  • ツミ
  • トビ
  • ハクセキレイ
  • ハシボソガラス
  • ハヤブサ
  • ヒメアマツバメ
  • ヒヨドリ
  • ホオジロ
  • ムクドリ
  • メジロ
  • モズ
  • ヤマガラ
  • リュウキュウサンショウクイ

エナガ

木の枝にとまるエナガ

エナガは柄杓の柄のような長い尾羽が特徴的な小さな鳥です。全長は尾羽を含めると13~14センチほどあり、また胴体の部分も羽が丸く膨らんでいるため実際より大きく見えますが、実際はとても小さい鳥で体重は8グラムほどしかありません。

スズメの体重が24グラムほどなので、スズメの半分以下の体重です。日本で一番小さい『キクイタダキ』の5グラムに次いで、日本で二番目に小さい鳥となっています。

キセキレイ

枝にとまっているキセキレイ

キセキレイは体長約20センチほどの野鳥で、スズメ目セキレイ科に属します。尾羽が長く体長の半分ほどを占め、いつもこの尾羽をフリフリと上下に動かす姿から、「石たたき」や「庭たたき」とも呼ばれます。

胸から腹部、お尻のほうにかけて黄色い羽毛で覆わているのが特徴で、特に夏場は黄色が鮮やかになり、見るものを魅了します。

群れは作らず単独かツガイで行動しています。渓流沿いで生活していることが多いので、水辺付近を探すと良いでしょう。

漂鳥

漂鳥とは日本国内で季節に応じて生息場所を変える鳥です。それに対し、移動する距離が長く日本と国外とを行き来する鳥は渡り鳥と呼ばれています。

漂鳥は暖かい季節には北の地域や標高の高い場所に生息し、寒い季節になると南の地域や低地に移動して越冬します。

  • アオジ
  • ウソ
  • シメ
  • トラツグミ
  • ノスリ
  • ビンズイ
  • ルリビタキ
  • イカル

アオジ

枝の上のアオジ

アオジは体長16センチほどで、スズメよりやや大きな小鳥です。

翼は茶褐色で模様などもスズメに似ているためよく間違えられますが、胸から腹にかけて緑がかった薄い黄色の羽毛が特徴。アオジの『アオ』は緑色も含めた古い意味での青が由来と言われています。

夏に北海道や本州北部で繁殖を行い、冬になると積雪の殆どない地域へと移動して冬を越します。中にはロシアや中国から越冬するために日本に飛来する種のアオジもいます。

シメ

シメは体長約18センチのスズメ目アトリ科の野鳥です。スズメよりも若干大きく、色は全身茶褐色がベースで翼の先が黒色となっています。

日本では夏場に北海道で繁殖を行い、寒い季節には本州に渡ってきて越冬します。カエデやムクノキなどの種子を主食としていますので、その付近を探すと良いでしょう。

鳴き声が「シー」と聞こえることから、鳥を意味する接尾語である「メ」からその名がついたと言われています。

夏鳥

夏鳥とは、暖かい春~夏の季節に日本国内に飛来し繁殖活動を行い、秋には日本を離れ国外で越冬する渡り鳥たちのことです。

  • アカハラ
  • オオルリ
  • キビタキ
  • クロツグミ
  • コサメビタキ
  • サシバ
  • サメビタキ
  • サンコウチョウ
  • センダイムシクイ
  • メボソムシクイ

オオルリ

枝にとまっているオオルリ

オオルリは体長約16センチほどの野鳥です。メスは背中側が茶褐色で腹が白と地味なのに対し、オスはその名の通り背中側が濃い青(瑠璃色)に腹が白ととても美しい色を持っています。

夏場に日本に訪れ繁殖活動を行い、冬になると東南アジアなどに移動して越冬し、また暖かい季節に日本に戻ってくる夏鳥です。

とても目立つ色をしていますが、木の高い場所にとまっていることが多く見つけるのが難しいと言われています。ゆっくりと「ピリーリー、ポィヒーリー、ピールリ、ピールリ、ジィ、ジィ」と美しい特徴的なさえずりをしますので、声を頼りに探してみると良いでしょう。

メボソムシクイ

メボソムシクイ

メボソムシクイは体長約13センチの野鳥です。頭部から背中にかけては暗めの黄緑色で、目の上には細い眉斑があります。実際の目はもちろん丸い形ですが、この眉斑が細いことからメボソムシクイという名が付きました。

他のコムシクイやオオムシクイなどに比べると、やや黄色みが強く尾羽や翼長が長いという特徴を持っています。

夏場に日本の本州や四国で繁殖を行い、冬は越冬のために中国南東部、台湾、フィリピンなどに渡ります。

冬鳥

冬鳥は秋から冬にかけて日本国内に訪れ越冬する渡り鳥です。春には日本を離れて北へ移動し、繁殖や子育てを行い、また寒い季節に日本に戻ってきます。

  • アトリ
  • オオカワラヒワ
  • ジョウビタキ
  • シロハラ
  • ツグミ
  • ミヤマホオジロ

ジョウビタキ

枝にとまっているジョウビタキ

ジョウビタキは全長約15センチほどの小さな野鳥です。

ベースの色は薄い茶色に、オスのみ頭が銀白色に顔部分が黒と比較的カラフルな羽毛を持っていますが、メスは翼の一部に白斑があるのみで地味な色味となっていてスズメに見間違えられることもあります。

夏にチベットやロシア極東などで繁殖を行い、冬になれると日本全国に渡り鳥としてやってきますが、近年は日本国内での繁殖も確認されています。

体の小さい鳥は群れることが多いのですが、こんおジョウビタキは群れを作らず単体で暮らしています。

ツグミ

地上に降りているツグミ

ツグミは全長約24センチの野鳥です。体調はムクドリと同じくらいですが、ムクドリに比べてスマートな体型となっています。

羽の部分は茶褐色で、お腹や胸側は白と黒のまだら模様が特徴。まだら模様が濃くはっきりとしている個体がオスで、逆に薄い個体がメスです。

地面に降りて餌となる昆虫を探す際に、両足でピョンピョン跳ねるように移動する姿から古くは跳馬とも呼ばれていました。

旅鳥

枝に止まるエゾビタキ

旅鳥とは夏に日本より北の地域で繁殖し、冬は日本より下の地域に渡り越冬する野鳥で、渡りの途中で日本に立ち寄る渡り鳥です。

旅鳥は基本、春と秋に飛来してきますが、どちらか一方の季節だけに飛来してくるケースもあります。

権現山(弘法山公園)には『エゾビタキ』や『ムギマキ』などの旅鳥が訪れます。

権現山(弘法山公園)へのアクセス

権現山の場所(地図)

電車

最寄り駅は小田急線お『秦野駅』で、駅から権現山(弘法山公園)までは徒歩40~50分ほどです。

車・駐車場

  • 弘法山公園第一駐車場
  • 弘法山公園第二駐車場
  • 浅間山駐車場

の3つの無料駐車場が備わっていますが、バードサンクチュアリには浅間山駐車場が便利です。

最寄りのインターチェンジは東名高速道路の『秦野中井インターチェンジ』で、ICから浅間山駐車場までは車で10分ほどの道のりとなっています。

権現山(弘法山公園)の野鳥に関するみんなのツイート

神奈川県内のその他バードウォッチングスポット

神奈川県内には東高根森林公園以外にもまだまだたくさんのバードウォッチングスポットがあります。横浜などの大都市を抱えているため都会のイメージが強い神奈川ですが、意外にも自然が残るスポットも多く、野鳥観察が楽しめる場所も豊富です。

海沿いの公園や都市公園、標高の高いエリアなど環境も様々で、見られる野鳥が豊富なところも魅力のひとつです。また、電車などで都心からのアクセスしやすいスポットも多く、初心者でも野鳥観察が楽しみやすい場所も多いのが特徴です。

以下の記事では神奈川県内の数あるバードウォッチングスポットのうち、初心者でも楽しみやすいスポットを中心に複数紹介しています。神奈川県内でバードウォッチングを楽しむ際の参考にしてください。
神奈川県の野鳥観察スポット11選!初心者でもバードウォッチングが楽しみやすい公園や池などを360写真付きで紹介

権現山(弘法山公園)の基本情報

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