忍野八海を360度写真レポート│富士山が育む神秘の湧水地をまったり観光

忍野八海の概要

忍野八海は、山梨県忍野村にある富士山の伏流水を水源とした湧泉群。富士山とともに世界文化遺産に登録されている人気の観光名所です。(「伏流水」とは、簡単に言うと地下水のことです)

驚くほどの透明度!

忍野八海-澄んだ池とニジマス

忍野八海-澄んだ池とニジマス

忍野八海の魅力といえば、なんと言っても透明度の高さ。中には水深が8メートルほどあるにも関わらず、底まではっきりと見えるほど水が透き通っています。その透明度の高い池にはニジマスが泳いでいて、中には金色の個体も混じっています。青く透き通った池の中を悠然と泳ぐ金色のニジマスには神々しさを感じてしまいます。

忍野八海の水は、富士山に積もった雪が解け、その雪解け水が地下の不透水層で約20年もの歳月をかけて濾過されて湧き出てくる水です。そのため、どこまでも透き通る透明度の高い水となってるのです。

忍野八海の歴史

諸説あるようですが、現在の忍野八海がある一帯は、宇津湖(うつこ)という大きな湖があったと古文書に記されています。しかし、西暦800年~802年にかけて富士山が噴火を起こし、そのときに流れ出た溶岩で山中湖と忍野湖の2つに分けられてしまったそうです。

そして、長い年月をかけて忍野湖は涸れて盆地となってしまいますが、忍野八海を始めとした複数の湧水池が残りました。

国の天然記念物と世界遺産登録

忍野八海は、1934年5月1日に「史跡名勝天然記念物」として国の天然記念物に認定されました。

更に2013年6月には、富士山とその構成資産としてユネスコの世界文化遺産として登録されました。なお、自然遺産ではなく文化遺産として登録されていることに注意が必要です。

約20年の歳月をかけて濾過した神秘の水や、そこから見える富士山の絶景も素晴らしいものではありますが、「富士山信仰」の場所として重要な場所であることから、世界文化遺産として登録されています。

もともと富士山自体、世界自然遺産の登録を目指していましたが、ゴミの不法投棄や、開発で自然が保てていないなどの理由で、自然遺産の登録を諦めて文化遺産の登録に切り替えた。という経緯があります。その関係で忍野八海も自然遺産ではなく文化遺産となったのかもしれません。

忍野八海とともに「富士山の構成資産」として世界文化遺産に登録されている場所は、山梨県のHPをご確認ください。

八つの海(池)

そもそも忍野八海とは、その名の通り八つの海(池)で構成された湧泉群の総称です。

それぞれ大きな池ではないにも関わらず「海」と呼ばれるのは、富士山を信仰する信者の霊場となっていて神聖な場所であるため「海」と名付けられています。昔は、富士山に入山する際には忍野八海のそれぞれの池を巡り、身を清めていたそうです。

一番霊場:出口池(でぐちいけ)

忍野八海-出口池

忍野八海-出口池

忍野八海の中では一番大きな池です。他の池は近くにまとまっていますが、この出口池だけは少し離れた場所にあります。と言っても、一番メジャーな湧池から約1kmの距離なので、徒歩15~20分ほどで行くことが可能です。(忍野村の観光案内図によると、近くに駐車場もあるようです)

他の池が集まっている場所は湧池を中心に観光地化されていますが、そこから離れている分、人も少なくゆっくりと観光ができる穴場スポットです。

この出口池には難陀竜王(なんだりゅうおう)が祀られていて、富士登山を目指す行者はこの池の水で身を清め、穢を払ったそうです。忍野八海めぐりの第一霊場となっていて、「精進池」という別名も持っています。

二番霊場:お釜池(おかまいけ)

忍野八海-出口池-360度写真

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お釜池は、忍野八海の中では一番小さな池です。

昔は湧水量が多くぶくぶくと水が湧き出ている様子が、お湯が沸騰している釜のように見えたことから「お釜池」と呼ばれるようになったそうです。関東大震災で地下水脈の構造が変わったしまったようで、現在は湧水量が減っています。

このお釜池には悲しい伝説が残されています。近くで暮らしていた娘がお釜池で洗濯をしていると、大きなガマガエルが突然現れ池に引きずり込んでしまいました。一緒に暮らしていた父親と姉は村人を集めて引きずり込まれてしまった娘を探しましたが、見つけることはできませんでした。その後、父親と姉はお釜池のほとりで、娘の冥福を祈って過ごしたそうです。そのため、お釜池は「大蟇池(おおがま池)」という別名も持っています。

なお、このお釜池のすぐそばには大きなイチョウの木が立っています。筆者が訪れたのはちょうど銀杏の季節で、たくさんの実が落ちていました。

三番霊場:底抜池(そこなしいけ)

忍野八海-底抜池

忍野八海-底抜池

「はんの木林資料館」という有料施設の敷地内にある池です。他の池はすべて無料で観ることができますが、この底抜池だけは有料施設内のためお金がかかってしまいます。

底抜池は、この池で洗い物を落としてしまうと渦に巻き込まれて消えてなくなり、しばらくすると忍野八海のひとつである「お釜池」に浮かび上がってきたという伝説があります。そのことから、「この池で洗い物をすることは、神様の怒りを買う」と語り継がれています。

四番霊場:銚子池(ちょうしいけ)

忍野八海-銚子池-360度写真

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以前は、池の形が銚子に似ていて、そこから「銚子池」という名前が付きました。(銚子とは、お酒などを注ぐための長い柄のついた器のことです)

池の底を覗き込むと、砂が巻き上がっている箇所があり、水が湧いている様子を観ることができます。

昔、結婚式中にオナラをしてしまった花嫁が、それを恥じて式を抜け出し、銚子を抱いてこの池に身を投げてしまいました。その後、花嫁の履いていた草履が池の底に映って見えることがあるという伝説があります。悲しい伝説ではありますが、その伝説からこの池は「縁結びの池」とも呼ばれるようになったそうです。

五番霊場:湧池(わくいけ)

忍野八海-湧池-360度写真

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商店街などがあり、観光地化されて賑やかな場所にある池です。水深は4メートルほどあるにも関わらず、池の底がくっきりと見えるほど水が澄んでいて、池の中を覗くと引き込まれそうな感覚になります。

青く澄んだ水の中を、大きなニジマスが泳いでいて、中には金色のニジマスもいて神秘的な池です。

この湧池には、「むかし富士山が噴火した際に、苦しんで水を求める人々に木花開耶姫命という女神が救いの手を差し伸べ、水が湧き出して池となった」という伝説が残っています。

六番霊場:濁池(にごりいけ)

忍野八海-濁池

忍野八海-濁池

阿原川という細い河と繋がっている楕円形の池。湧出量が「0.041立方メートル毎秒」と少ないため、濁っている場所があり濁池という名前がついたようです。ですが、現在は井戸水が流れ込んでいて、その濁りもなくなった澄んだ池となっています。

濁池には「もともと澄んだ水を飲料水として利用していたが、ある日みすぼらしい姿の行者がやってきて一杯の水を求めました。しかし、その地主の老婆が水を与えることを断った途端に、池の水が濁ってしまった」という伝説が残されています。

七番霊場:鏡池(かがみいけ)

忍野八海-鏡池

忍野八海-鏡池

濁池と同様湧出量が少ないため、湧池のようにとても澄んでいるわけではありませんが、風の無い日は水面が鏡のようになり、逆さ富士を映し出します。

この鏡池は、すべての事の善悪を見分ける霊力があり、部落内でもめごとなどが起きると全てを丸くおさめるために、双方が鏡池の水を浴びて身を清め、祈願したと言い伝えられています。

八番霊場:菖蒲池(しょうぶいけ)

忍野八海-菖蒲池

忍野八海-菖蒲池

その名の通り菖蒲が生い茂っている池です。集落で疫病がはやった際には、その菖蒲を体に巻く風習もあったようです。

伝説によると、近くで暮らしていた若い夫婦の夫が肺病にかかった際に、妻が神仏に助けを求めてこの菖蒲池で水を浴びて体を清めたところ、「池の菖蒲をとって夫の身に巻けば、夫を苦しめている病魔は必ず退散する」という神のお告げがありました。そのお告げを信じて夫の身に菖蒲を巻いたところ、一ヶ月もしないうちに治癒したと言われています。

観光地化された忍野八海

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世界文化遺産として登録されてからは観光地化が進んでいて、忍野八海の周辺にはお土産物屋さんや軽食屋さんなどが軒を連ねています。

駐車場

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お土産物屋さんや食事処が観光客向けに駐車場を用意しています。そのお土産物屋さんでお土産を買うと無料で駐車できるという仕組みになっています。

商店街

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商店街にはお土産物屋さん以外にも、ヨモギ団子や甘栗、ソフトクリームなどの軽食を販売している店も多く、食べ歩きも楽しめます。

トイレ

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キレイな公衆トイレもありますので、小さなお子さんを連れての観光も安心です。

湧き水に直接触れる

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湧池の近くには、湧き水を直接手で触れることのできる施設もあります。約20年もの歳月をかけて、富士山の地下水脈を流れてきた神聖な水なのでぜひ触れておきたいですね。夏でも水の冷たさに驚くはずです。

人工池

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観光地化された湧池周辺には、人工池もあります。湧池などに比べて大きいため、こちらがメインの池かと勘違いしてしまいそうになります。忍野八海の霊場にはそれぞれ立て札が立っていますので、チェックしながら霊場をまわるとよいでしょう。

なお、人工池にもキレイなニジマスが泳いでいます。100円ほどでニジマスに与えるエサが売っていて、子どもたちが餌やりを楽しんだのですが、もうお腹いっぱいなのか、反応はあまり良くありませんでした。

忍野八海の口コミ(みんなのツイート)

最後に

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富士山は年間20億トンもの雨が降り注ぐにも関わらず、山の表面に川はありません。富士山に降り注ぐ大量の雨は、一度富士山に吸収され、地下水脈となって麓の町に湧き出ているということです。

この地下水脈のメカニズムはまだ解明されていない部分が多く、謎に包まれているそうですが、この地下水脈が麓の町で暮らす人の生活を支えてきたことは間違いありません。忍野八海もその地下水脈が湧き出る場所のひとつです。

富士山周辺には富士山にまつわる観光名所が多数ありますが、ぜひ忍野八海にも足を運んで富士山の神秘に触れてみることをおすすめします。

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