狭山湖で野鳥観察のススメ。越冬する冬鳥に出会えるバードウォッチングスポットを360度写真付きで紹介

狭山湖の概要

狭山湖は埼玉県の所沢市と入間市にまたがる貯水池です。正式名称は『山口貯水池』で、東京の上水道の貯水を目的に昭和2年(1927年)から約7年の歳月をかけて造られた人工の池となっています。

柳瀬川を堰き止めて造られた池で、東京と埼玉の県境にある狭山丘陵の北側に位置しています。現在でも隣接する多摩湖と同様、大都会東京の水源確保に重要な役目を担う貯水池です。

狭山湖の外周は約23キロメートル、満水時には約1.89平方キロメートルの広さとなっています。

雑木林に囲まれていて周辺は自然公園に指定されている他、景観の美しさから『埼玉の自然100選』にも選ばれています。クヌギや松の雑木林の他、ソメイヨシノをはじめとした桜も多く植樹されていて、開花の時期には花見スポットとしても有名です。

狭山湖は野鳥観察にも最適!

狭山湖およびその周辺は自然がとても豊かで、多くの野鳥が生息していたり、越冬のために冬鳥が飛来したりと、様々な野鳥が観察できるスポットとしても知られています。

野鳥観察のポイントは狭山湖の東側にある堤防となりますが、西武球場前駅から徒歩15分ほどで、また堤防の両サイドには狭山湖の駐車場も備わっていてアクセスしやすいのが魅力のひとつです。また、堤防は遊歩道となっていて足場もよく、バードウォッチング初心者さんや年配の方でも気軽にバードウォッチングを楽しめる環境となっています。

ただし、野鳥は遠くにいることが多いので高倍率の双眼鏡やカメラレンズを用意していきましょう。

狭山湖では一年を通して様々な野鳥を観察することができますが、越冬のために訪れるカモの仲間などの冬鳥がとても多く、冬がバードウォッチングのハイシーズンとなっています。冬の狭山湖は日本野鳥の会が開催する観察会の会場にもなりますので、参加してみるのもお勧めです。

なお、堤防を挟んで狭山湖の反対側には原っぱや雑木林があり、堤防の東側も野鳥観察を楽しむことができます。また、更に東へ行くと『トトロの森』と呼ばれる遊歩道も整備されている森があり、そちらでもバードウォッチングを楽しむことが可能です。

狭山湖で見られる野鳥

留鳥(一年を通して出会える鳥)

留鳥とは繁殖や子育て、越冬などを一定の場所で行う鳥です。渡り鳥のような季節に応じて生息する場所を変える鳥ではありませんので、季節にかかわらず出会える鳥です。ただし、小さい鳥は木の葉っぱが散って枝だけになっている方が見つけやすいなど探しやすさは季節ごとに違いがあります。

  • アオサギ
  • イソヒヨドリ
  • ウグイス
  • エナガ
  • オオタカ
  • ガビチョウ
  • カルガモ
  • カワウ
  • カワラヒワ
  • キジバト
  • キセキレイ
  • コゲラ
  • シジュウカラ
  • スズメ
  • セグロセキレイ
  • セッカ
  • ダイサギ
  • チョウゲンボウ
  • トビ
  • ハクセキレイ
  • ハシブトガラス
  • ハシボソガラス
  • ヒバリ
  • ヒヨドリ
  • ホオジロ
  • ミサゴ
  • ムクドリ
  • メジロ
  • モズ
  • ヤマガラ

キセキレイ

枝にとまっているキセキレイ

キセキレイは体長約20センチほどの野鳥で、スズメ目セキレイ科に属します。尾羽が長く体長の半分ほどを占め、いつもこの尾羽をフリフリと上下に動かす姿から、「石たたき」や「庭たたき」とも呼ばれます。

胸から腹部、お尻のほうにかけて黄色い羽毛で覆わているのが特徴で、特に夏場は黄色が鮮やかになり、見るものを魅了します。

群れは作らず単独かツガイで行動しています。渓流沿いで生活していることが多いので、水辺付近を探すと良いでしょう。

ヒヨドリ

木の枝に止まって囀るヒヨドリ

ヒヨドリは全長75センチほどのスズメ目ヒヨドリ科の野鳥です。ほっそりとした体型をしていて、尾羽は10センチ以上と長めとなっています。

全体が灰色がかった地味な色合いで、目の下に茶色いラインが入っています。

昆虫も捕食しますが、花の蜜や果実が好物で、梅や桜の花が咲くと密を吸っている姿をよく見かけます。

なお、1970年頃までは10月頃に東京に訪れる冬鳥として知られていましたが、現在は一年を通してその場で生息している留鳥となっています

漂鳥

漂鳥とは日本国内で季節に応じて生息場所を変える鳥です。それに対し、移動する距離が長く日本と国外とを行き来する鳥は渡り鳥と呼ばれています。

漂鳥は暖かい季節には北の地域や標高の高い場所に生息し、寒い季節になると南の地域や低地に移動して越冬します。

  • アオジ
  • オオバン
  • カイツブリ
  • シメ
  • ノスリ
  • マガモ
  • ルリビタキ
  • キクイタダキ

アオジ

枝の上のアオジ

アオジは体長16センチほどで、スズメよりやや大きな小鳥です。

翼は茶褐色で模様などもスズメに似ているためよく間違えられますが、胸から腹にかけて緑がかった薄い黄色の羽毛が特徴。アオジの『アオ』は緑色も含めた古い意味での青が由来と言われています。

夏に北海道や本州北部で繁殖を行い、冬になると積雪の殆どない地域へと移動して冬を越します。中にはロシアや中国から越冬するために日本に飛来する種のアオジもいます。

オオバン

水面を泳ぐオオバン

オオバンはツル目クイナ科の水鳥です。体長は40センチ弱あり、クイナの仲間では最大となっています。真っ黒い体に真っ白いクチバシとおでこというシンプルな配色が特徴的です。

足には水かきがあり水面を泳ぐのが得意です。水面近くにある水草の葉や種子を食べたり、潜水して水生植物の茎を食べたりします。また、雑食性で時には魚や昆虫を捕食することもあります。

夏鳥

夏鳥とは、暖かい春~夏の季節に日本国内に飛来し繁殖活動を行い、秋には日本を離れ国外で越冬する渡り鳥たちのことです。

  • キビタキ
  • コチドリ
  • ツバメ
  • ノビタキ
  • ホトトギス

コチドリ

地面に降りてきたコチドリ

コチドリは体長約16センチほどの、日本に生息するチドリの仲間では最も小さい野鳥です。成鳥は頭部と背中が茶色、腹が白色で、首周りと顔の一部が黒と特徴的な色となっています。また、目の周りには黄色い輪があるのも特徴です。

動物食の鳥で、昆虫やミミズなどを食べる他、浅い水辺に入って水中の昆虫を捕食することもあります。

日本では夏鳥で、夏に本州や九州、四国などで繁殖を行い、越冬のため冬は海外へと渡ります。

冬鳥

冬鳥は秋から冬にかけて日本国内に訪れ越冬する渡り鳥です。春には日本を離れて北へ移動し、繁殖や子育てを行い、また寒い季節に日本に戻ってきます。

  • オカヨシガモ
  • オナガガモ
  • カシラダカ
  • カンムリカイツブリ
  • キンクロハジロ
  • コガモ
  • ジョウビタキ
  • シロハラ
  • タヒバリ
  • ツグミ
  • トモエガモ
  • ハシビロガモ
  • ハジロカイツブリ
  • ヒドリガモ
  • ホシハジロ
  • ミコアイサ

オナガガモ

水面を泳ぐオナガガモのオス

オナガガモはその名の通り尾羽根が長いのが特徴的なカモです。ただし、尾羽根が長いのはオスのみで、メスはオスに比べて尾は短めとなっています。また、体長もオスは75センチほどまで成長するのに対し、メスは55センチほどと体格差もあります。

また、柄もメスは地味な色合いなのに比べ、オスは顔(頭部)が茶褐色ですが首から胸にかけて白い羽毛を持ち、派手ではありませんがユニークな模様を持つ水鳥となっています。

なお、夏場は局地に近いツンドラ地帯で繁殖を行い、冬に日本の本州以南で越冬する冬鳥です。

ツグミ

地上に降りているツグミ

ツグミは全長約24センチの野鳥です。体調はムクドリと同じくらいですが、ムクドリに比べてスマートな体型となっています。

羽の部分は茶褐色で、お腹や胸側は白と黒のまだら模様が特徴。まだら模様が濃くはっきりとしている個体がオスで、逆に薄い個体がメスです。

地面に降りて餌となる昆虫を探す際に、両足でピョンピョン跳ねるように移動する姿から古くは跳馬とも呼ばれていました。

旅鳥

枝に止まって囀るノゴマ

旅鳥とは夏に日本より北の地域で繁殖し、冬は日本より下の地域に渡り越冬する野鳥で、渡りの途中で日本に立ち寄る渡り鳥です。

旅鳥は基本、春と秋に飛来してきますが、どちらか一方の季節だけに飛来してくるケースもあります。

狭山湖では時折『キマユホオジロ』や『ノゴマ』が飛来してきます。

狭山湖へのアクセス

狭山湖の場所(地図)

電車

最寄り駅は西武鉄道の『西武球場前駅』で、駅から狭山湖の野鳥観察ポイントまでは徒歩15~20分ほどです。

最寄りのインターチェンジは圏央道の『入間インターチェンジ』で、ICから狭山湖までは車で約20分ほどの道のりです。

なお、狭山湖には専用の有料駐車場が備わっています。野鳥観察のポイントとなる堤防の北側に第一駐車場、南側に第二駐車場と2つの駐車場があり、どちらも料金は以下となっています。

  • 20分以内:無料
  • 1時間ごと:110円
  • 最大料金(平日):550円
  • 最大料金(土日祝・特定日):880円
    ※特定日は年末年始や桜の開花時期、GWなどです

狭山湖の野鳥に関するみんなのツイート

埼玉県内のその他バードウォッチングスポット

狭山湖のある埼玉県には、まだまだたくさんのバードウォッチングスポットがあります。

埼玉は海のない県として知られていますが、実は面積に占める河川の割合では日本一です。行政も『川の国埼玉』と銘打って、川の環境保護や再生事業に取り組んでいるため、野鳥が好む自然豊かな水辺が豊富で、野鳥観察に適したスポットが県内各所に存在しています。

都心からアクセスしやすく、気軽に野鳥観察が楽しめるスポットが多いのも埼玉の魅力のひとつと言えるでしょう。

以下の記事では、埼玉県の数あるバードウォッチングスポットの中から初心者でも楽しみやすい場所を厳選して紹介しています。

埼玉県内での探鳥の旅を楽しみたい方は、ぜひご参考ください。
埼玉県の野鳥観察スポット15選!初心者でもバードウォッチングが楽しめる公園などを中心に360度写真付きで紹介します

狭山湖の基本情報

  • 住所:埼玉県所沢市勝楽寺12
  • 料金:無料
  • トイレ:あり
  • 駐車場:あり(有料)

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