浦添城跡の概要
浦添城跡は沖縄県浦添市にある標高130メートルほどの丘陵に建てられたお城の跡です。
お城自体は1609年に薩摩藩の琉球侵攻によって消失してしまった他、防衛に適した地理的条件から太平洋戦争では重要拠点が置かれ激戦区となったため、そのほとんどが破壊されてしまいました。
現在では石垣(城壁)や浦添ようどれという琉球王国初期の陵墓が復元されていて、沖縄の歴史に触れられる観光名所となっています。国の史跡に指定されている他、世界遺産の登録も目指していて城および周辺の景観整備などが進められています。
浦添城は首里城の原型
浦添城の歴史には諸説ありますが12世紀に琉球王国の開祖である舜天(しゅんてん)王が築城し、その後も英祖(えいそ)王統、察度(さっと)王統と10代にわたって琉球の王が居城したという説が有力です。
歴史証拠は無いものの巨大な城の周囲に王陵や寺院を作り、更に周辺に集落を配置するなど、後の首里城の原型になった城と言われています。
浦添城跡の見どころ
浦添ようどれ
浦添ようどれは、浦添城跡内の北側にある琉球王国初期の王陵(王族のお墓)です。沖縄に古くからある岩壁に横穴を掘って作られた掘り込み墓で、右側が英祖王、左側が尚寧王のお墓となっています。(1261年に英祖王が築き、1620年に尚寧王が修築したと伝えられています)
浦添城と同じく沖縄戦で破壊されてしまいましたが、近年修復作業が行われ、戦前の姿へと蘇った浦添ようどれを観ることができます。
なお、浦添ようどれの「ようどれ」は古い琉球語で夕暮れ時の波風が静まる時、いわゆる「夕凪」という意味です。また、浦添ようどれは「極楽陵」という別名も持っています。
ようどれ館
浦添ようどれから西に270メートルほどの場所に「ようどれ館」という浦添城や浦添ようどれの歴史について学ぶことができる施設が設けられています。
ようどれ館には、浦添ようどれの西室「英祖王陵」の内部が実物大で再現されていて、石棺や実際に出土した遺物などを見学することができます。
- 開館時間:9時~17時
- 料金
大人(高校生以上):100円
子供(小中学生):50円
未就学児:無料 - 休館日:毎週月曜・年末年始(12/28~1/3)
- 電話場号:098-874-9345
ディーグガマ
ディーグガマは浦添城跡内にある御嶽です。「御嶽」とは、琉球王国で信仰されてきた琉球神道における聖域で、祭祀などが行われる場所のことです。
ディーグガマは鍾乳洞が陥没してできた円形状の窪地となっていて、デイゴの木があった洞穴だったことからその名前がついたとされています。
なお、1713年の地誌「琉球国由来記」には浦添城内に「渡嘉敷嶽」という御嶽があったことが記されていて、それがディーグガマであると考えらています。
沖縄戦の際は、ディーグガマの洞穴に戦没者の遺骨を納めていたそうで、ディーグガマのすぐ近くには「浦和の塔」という沖縄戦の犠牲者を祀る慰霊の塔が建てられています。
石畳道・浦添城の前の碑
浦添城跡の南側には、1597年に尚寧王が浦添城と首里城とを結ぶために整備したとされる石畳道があります。
浦添城跡の石畳道は2006年から発掘調査され、当時の石を活用する形で復元された道ですが、更に南西へ進んだ先には安波茶橋など、現在でも生活道として利用されている石畳道を見ることもできます。
なお、浦添城跡には中頭方西海道の完成を祝して「浦添城の前の碑」が建てられています。記念碑は「尚寧王の命により首里平良から浦添城までの道を拡張し、平良橋を木橋から石橋に架け替え、道に石畳を敷く国家的大土木工事を実施した」という内容が記されています。
記念碑は沖縄戦で破壊されてしまったため、現在の浦添城の前の碑は1999年に復元されたものとなっています。
ワカリジー
浦添城跡の東側、標高148メートルと浦添市内で最も高いとされる場所にある大きな岩です。ワカリジー自体も高さ約13メートルと大きな岩で、遠くからでも見ることができるランドマーク的な存在となっています。
また、ワカリジーは英祖王が女神職のウシキンベーとの間にもうけた子「イソノシー」を祀った場所で、今でも地元の方の拝所(ウガンジュ)として信仰の対象にもなっています。
なお、ワカリジーのある前田高地は沖縄戦で激戦が繰り広げられた場所です。米兵はこの高台に立つワカリジーを「ニードルロック(針の岩)」と呼び、この市内で最も標高の高い場所を奪うために激しい争奪戦が行われた悲しい歴史も持っています。
浦添城跡へのアクセス
車
浦添城跡のある浦添市は那覇市の隣りにあり、空港からも車で20~30分ほどで行くことができる観光スポットです。首里城からだと15分ほどで行くことができますので、セットで観光を楽しむと良いでしょう。
なお、浦添城跡には無料の駐車場が備わっています。
電車(ゆいレール)
浦添城跡はゆいレールの駅「浦添前田駅」から徒歩10分と、ゆいレールを使って行くことも可能です。
浦添城跡の口コミ
沖縄本島浦添市にある浦添城跡へ。
第89回アカデミー賞において録音賞と編集賞を受賞した『ハクソー・リッジ』の舞台であるが、台風が近づいてきて風が強くなってきた!#メルギブソン #浦添市 #前田高地 #浦添城跡 #ハクソー・リッジ pic.twitter.com/XX1oJxh1gg
— 旅人しげちゃん (@ShigeTabi) July 19, 2021
この前、浦添ようどれ・浦添城跡に行ってきたのですが…霊の噂になる理由は分かりました。戦没者の遺骨を納めていたガマや、ウタキ……色んな要因が集まった悲しい場所だったりします。浦添八景に指定されているらしく、景色は良いですよ。#浦添ようどれ #浦添城跡 #シーマヌウタキ #浦添八景 pic.twitter.com/7j239wjCOy
— 【心霊考察】視える人-狐憑きのたる-【公式】《心霊考察チャンネル》 (@sinreikousatu) May 27, 2021
観光客に知られていない知る人ぞ知るマニアックな観光名所、浦添城跡に来ました。
誰もいなくて貸切状態です。 pic.twitter.com/bt0HcvfC9h— マミさん@夢追い人 (@homurasayaka) April 3, 2021
沖縄の浦添城跡に行きました🏯
浦添城は、首里城より以前の琉球王国のお城で今は琉球の王様が眠っています🤴😲
立派な、城壁とお墓でした😃#週刊瀧川ありさ#ありさー旅部 #浦添城 pic.twitter.com/kqLuFHl8oZ— リラックマ@瀧川ありさ📷️🗻🏖️✨✈️ (@monsieur_hiroki) March 25, 2021
浦添城跡
とても眺めが良い pic.twitter.com/PU7VnztbVg— TKD (@tkd_7016) March 25, 2021
浦添城跡のまとめ
世界遺産として登録された「琉球王国のグスク及び関連遺産群」に含まれていないためか、浦添城跡は他のグスク(城)に比べると観光スポットとしては有名ではありませんが、首里城の原型となったとされる歴史的に非常に価値の高いグスクです。
標高の高い場所にあり、北側では宜野湾や北谷の街並みを、南側は那覇の街並みを一望でき、さらにその先には青い海に浮かぶ慶良間諸島などを眺めることもできる景観となっています。
那覇市外からも近くアクセスしやすいのも魅力の一つとなっていますので、沖縄旅行の際は足を運んでみることをお勧めします。
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