神が降り立った場所『ヤハラヅカサ』│琉球の国王も祈りを捧げた聖地を360度写真付きで紹介

ヤハラヅカサの概要

ヤハラヅカサは、琉球開闢の創世神アマミキヨが沖縄本島に降り立った際、最初に足を降ろした場所と伝えられている聖地です。

沖縄県南城市の百名(びゃくな)ビーチという天然のビーチの北端に位置し、海の中に1.4メートルの石碑が建てられています。石碑の足元には香炉が備わっていて、そこが神聖な拝所であることがわかります。

潮の満ち引きで姿を隠したり現したりするその姿は神々しく、また百名ビーチの白い砂浜と青い海の美しさも相まって、知る人ぞ知る観光名所となっています。

一部が海の中に沈むヤハラヅカサ

1994年には市の有形民俗文化財にも指定され、沖縄の歴史や文化を感じることができる価値の高いスポットです。

なお、ヤハラヅカサに建っている石碑は、見た目は古いものに見えますが古代からあるものではなく、2005年に建て替えられた石碑となっています。現在は琉球石灰岩で作られた石碑ですが、以前のものはコンクリートで作られた石碑が建っていたそうです。

ヤハラヅカサとアマミキヨ

諸説ある琉球開闢の伝説の中でも最も有名なのが、日の大神に命じられた創造神「アマミキヨ」が、ニライカナイという神の住む島から現在の久高島に降り立ち、琉球を創ったという言い伝えです。

そして、久高島の次に沖縄本島に上陸する際に最初に足を降ろしたのが、ヤハラヅカサの石碑が建っている場所と云われています。

ヤハラヅカサに降り立ったアマミキヨは、その後浜川御嶽、ミントングスク、玉城グスク、知念グスクへと歩を進め、現在の沖縄本島を創造しました。

沖縄本島創造の第一歩となったヤハラヅカサは、古代でも神聖な場所として崇められていて、4月に行われる稲穂祭には国王もヤハラヅカサを参拝し、祈りを捧げたそうです。

現在でも一部の沖縄県民から信仰の対象となっていて、祈りを捧げるために参拝に訪れる方がいらっしゃいます。

干潮時のみ現れる聖地

干潮時のヤハラヅカサ

干潮時のヤハラヅカサ

普段は海の中にあり石碑の上部のみが見えるヤハラヅカサですが、干潮時には完全に潮が引いて石碑全体を見ることができ、また石碑のそばまで行くことが可能です。

なお、満潮時には全体が水没してしまいますので、観光に訪れる際は潮汐表もチェックして満潮時は避けるようにしましょう。

浜川御嶽

ヤハラヅカサから北西に50メートルほどの場所に、ヤハラヅカサに降り立ったアマミキヨが少しの間だけ暮らしていたとされる地「浜川御嶽」があります。

「浜川」とは浜(海辺)近くの湧き水のことで、現在でも浜川御嶽では清らかな水が湧き出ていて「神の水」として崇められています。アマミキヨもこの湧き水で疲れを癒やし、近くの洞窟で身を休めていたそうです。

浜川御嶽は木々が生い茂る森にあり、水の流れる音が静けさを一層際立たせる幻想的な場所となっています。湧き水の近くには拝殿や香炉が設置された拝所となっており、線香や献花をお供えすることができます。

ヤハラヅカサに訪れた際は、同じくアマミキヨにまつわる神聖な場所である浜川御嶽にも足を運ぶことをお勧めします。なお、ヤハラヅカサと浜川御嶽はともに聖地巡礼「東御廻い」の聖地の一つとなっています。

東御廻い(あがりうまーい)

東御廻いの起点となる園比屋武御嶽

東御廻いの起点となる園比屋武御嶽

東御廻いとは、アマミキヨにまつわる霊地や、琉球王国ゆかりの聖地を巡る聖地巡礼です。もともとは琉球王国の国王が国の安泰や五穀豊穣を願って行われていた行事で、いつしか一般の国民も巡礼するようになったと言われています。

巡礼する聖地は

  • 里城近くにある王家の拝所「園比屋武御嶽」
  • 天女が舞い降りた聖地「御殿山」
  • 舞い降りた天女が子を産んだ場所「親川」
  • 琉球を最初に統一した尚巴志王の祖父の住居跡「場天御嶽(イビ御嶽)」
  • 尚巴志王とその父の居城跡「月代宮」
  • 太陽神が降臨されたとされる「テダ御川」
  • 最高神女「聞得大君」の就任の儀式が行われたという「斎場御嶽」
  • 知念按司の居城と伝えられている「知念城跡」
  • アマミキヨが稲を植えたという伝説の残る「知念大川」
  • 琉球の稲作発祥の地とされる「受水走水」
  • アマミキヨが降り立った「ヤハラヅカサ」
  • アマミキヨが一時的に住んだとされる「浜川御嶽」
  • アマミキヨが本格的に居を構えた場所と言われている「ミントングスク」
  • アマミキヨが築いたという伝説もある「玉城城跡」

の合計4箇所です。

首里城公園内にある「園比屋武御嶽」を起点に、終着点となる「玉城城跡」まで1日で巡ることも可能なので、沖縄旅行の際にプランの一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

ヤハラヅカサへのアクセス

那覇空港からヤハラヅカサまでは、車で40~50分の距離です。カーナビでヤハラヅカサの登録が無い場合は「百名ビーチ」を入力して目指すと良いでしょう。

ヤハラヅカサのまとめ

百名ビーチから見えるヤハラヅカサ

ヤハラヅカサは琉球王朝時代から信仰の対象として重要な場所ですが、沖縄通の観光客でもその存在を知らない人も多いのではないでしょうか。

同じ東御廻いのひとつである斎場御嶽などは沢山の観光客が訪れるスポットとなっていますが、ヤハラヅカサは人も多くなく、穴場な観光名所となっています。

また、ヤハラヅカサのある百名ビーチでは海水浴や浜遊びも可能で、レジャーを楽しみながら沖縄の歴史や文化を感じることができます。

琉球の国王も祈りを捧げたこの場所で、波の音に耳を傾けながら悠久の時に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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